けーすけ

騙し絵の牙のけーすけのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
3.8
老舗出版社の「薫風社」。出版不況の中、社長が急逝し後継争いが勃発していた。その中で専務の東松(佐藤浩市)による大改革が始まり、主要月刊誌の季刊化や廃刊が押し進められ、新人編集者の高野(松岡茉優)も異動となってしまった。
雑誌「トリニティ」も休刊の対象になるが、編集長の速水(大泉洋)は高野を引き抜き、大胆かつ奇抜な手法で雑誌の改革に挑むのであった。しかしその裏には隠された秘密が・・・





原作は未読なのですが、最近の小説では『罪の声』の作者でもある塩田武士が大泉洋を主人公としてあて書きしたとの事で、大泉洋の役がバッチリとハマってます。ほか、松岡茉優や佐藤浩市をはじめ出演陣も豪華。

ただ登場人物そこそこに多いけど、誰が出るかとか詳しく調べない方がいい気がします(キーパーソンがある程度わかっちゃうので)。


それにしても「逆転劇」とか「どんでん返し」ってのがセールスポイントで入ってるとどうしてもあれこれ詮索、推理しながら観てしまうので、最後に自分が思っていた以上の意外性が無いとどうしても評価下がっちゃう…。
個人的に本作では「まじかよっ!完全に騙されたー!!」ってほどの驚きは無かったです。


でもテンポよいストーリーの進み方、編集長・速水が大御所小説家を丸め込むくだりや、モデル女優がとある事件に巻き込まれた際の「どっちでいく?」というスリリングな感じ、どことなくリアリティがあってワクワクしたところ。

中盤からの、各登場人物のやり取りがどれも怪しく見えてくる感じの流れは「あいつって実は…」や「この流れ、裏があるに違いない…!」と想像をかきたてられ「騙されないぞ」となり、どんどんと引き込まれていきました。


そして虚構と現実が入り混じっており、過去ゴーストライターで話題になったピアニストの新垣隆や、女装パフォーマーのレディビアードが実名で登場したり、雑誌FRYDAYもそのまんま出てきたりで「どこまでが本当なんだ…?」と観ている側も騙される方向へもっていかれること間違いなし。



あと、劇伴がめっちゃかっこいい。ベースの音がビンビン刺さるし、ドラムのリズムも変拍子入り混じりで普通の映画音楽にはなかなかない感じのもので「一体誰なんだ?」と思ってたらインストバンドのLITEが担当してたのね!注目ポイントではあるのですが、音楽好きにはそっちに耳をとられて気になってしまうかも。笑



大泉洋:いつもの大泉節全開でクセのある編集長役を熱演。安心して観ていられる。

松岡茉優:こちらも安定の演技。たこ焼き食べながら缶ビールを飲む茉優ちゃんの横顔の美しさはずっと眺めていたかった…!

佐藤浩市:良くも悪くもいつもの安定な佐藤浩市。

中村倫也:登場時間が少なかった。。。涙



ラストがちょっと冗長で、とっ散らかった感があって勿体なかったかなー。それでも一筋縄ではいかない展開は十分に楽しめると思います。


2021/03/19(金) cocoの特別オンライン試写で鑑賞。https://coco.to/
[2021-029]
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