さよなら僕のマクガフィンたち

騙し絵の牙のさよなら僕のマクガフィンたちのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
4.1
「お前誰だよ!?」
確かに笑

吉田大八監督の最新作ともなれば、映画館に足を運びますよね。
『美しい星』や『羊の木』のようやポカーンとする映画ではなく、『桐島〜』や『紙の月』のようないやむしろそれ以上にエンターテイメントに特化した作品である。

映画冒頭。黒沢明監督の『野良犬』的な描写かと思いきや、犬がリールを引っ張って引っ張って、社長がコントロール出来ない。それはまるで社長がコントロール出来ない会社を表しているかのよう。松岡茉優の原稿を読む姿と相まって、この後120分間、名役者たちの怒涛の演技と、最高にテンポの良い編集でぐいぐい見せられる。
当てて脚本が書かれたという大泉洋、そして松岡茉優。2人を見ているだけで飽きないのに、脇を固める役者陣の豪華なことよ。

別に対立していたわけではないが、「面白いこと」を求める大泉洋より、1つのコンテンツへの愛を感じる松岡茉優の方に感情を重ねてしまった。もちろんコンゲームの気持ちよさとして大泉洋にはカタルシスを感じた。

1つあるとすれば、大泉洋のアイディアって今まで誰も思い付かなかったの?とか、Netflix独占配信がある現在、Amazonと独占とか言われてもちょっと古くない?って思ってしまった。

でも面白かったです。
『あの子は貴族』みたときに、象徴的なシーンご多くこう言う映画は見応えがあるって思いましたが、即物的な事象をテンポ良く見せる映画もやはり面白いんだよね。