本が売れない時代を戦う出版社の物語。大泉洋演じる編集長の速水が改革していく様子が爽快。この人の演技は本当にうまいと感心させられる。こんな人が上司だったら最高だろう。
音楽の使い方が上手だなと思ったら、監督は吉田大八さんで納得。紙の月では緊張感の演出が秀逸だったが、今作でもそれを彷彿とさせる音の技術が満載だった。
ストーリー自体は、権力争いや社内政治の中で雑誌を改革する話なのだが、ちょっと要素が多いのと都合が良すぎる部分が気になってはしまう。そしてどうしても盛り上がりに欠けてしまう。「本が売れない時代」という現実世界にも通ずる難題を、映画の中でも扱っているため、多少の都合の良さはないと話が前に進まないのはわかる。が、解決策がどうしても現実的すぎてうーんという感じ。人間関係の部分でおもしろくしているので、そちらをもっと観てみたい気持ちになった。半沢直樹はそこが上手だったから、銀行という組織の話でもあれだけ跳ねたんじゃないかと、考察が止まらない。
いずれにせよ楽しめる作品ではあるし、おもしろいモノを作るためのマインドの原点を思い出させてくれる作品だと思う。