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旅のおわり世界のはじまりのplantseedsのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
4.1
『人生の迷いを背負ったまま、これでいいのだろうか』

気になっていた、黒沢清監督の新作。
地元でようやく公開されたので鑑賞いたしました。

忙しさのため、パンチ工程で鑑賞しましたが、
途中10分ほど寝落ちしてしまいました…(笑)
鑑賞体制や、体調を整えて鑑賞するべきですね。
皆さんお忙しいなか、かなりの本数鑑賞されていて、
なんというか、スケジューリングだったり、どういった時間割で鑑賞しているのか気になります。
時間術を学びたい(笑)

最近の女優としての、活躍が素晴らしい前田敦子さん。
お子さんを出産されて、むしろさらに女優業の熱が高まっているような印象です。

主人公のテレビリポーターの葉子は、テレビリポーターとして思うように仕事ができず悶々とする。
実社会の大人の事情の板挟みになり、思うようにいかない葉子であったが、本当にやりたいことを胸に秘めながら日々を過ごしていた。
それは、「歌う」こと。

自分の中でも似ている状況があって、実際に今自分がやっている仕事は本当の夢とは乖離していて、
実際本当の夢は宙ぶらりんな状況。

夢がある人は経験したことのあるような状況で、
生活のためにバイトをしていたりと、でも、
実際の夢は一体いつかなうのか。
非常に葉子のことが自分ごとのように感じられます。

こういうときって、なんともいえないもどかしさ。
「自分はこれでいいのか」と、悶々とするのですよね。
「夢があるっていいですね」、と言われても、
当の本人は、必死だし、意外と普通に暮らしているよりもしんどかったりしますよね。
なんというか、夢が美化され過ぎて、逆によくないような場面ありますよね。

葉子の今の感情と、異国にいるという状況。
ウズベキスタンの綺麗な環境だけではなく、雑踏であったり、混沌とした情景も映す。
それが、いまの葉子の複雑な精神状態を表すようにも感じられました。
妙にリアルと感じました。

基本平坦で、葉子を通した情景を淡々と描いていく場面があるのですが、
途中で急に展開がかわり、
ネタバレになるので細かくは言えませんが、
「あれ、なんか急にジャンル変わったな(笑)」という展開になりました。

個人的には、葉子の状況自体が、感情移入、共感できる作品であったため個人的には好きな方の作品となりました。
100%の状況で鑑賞できなかった部分があるので、時間をおいて再鑑賞したいです。
ただ、非常に自分の心に、じわじわと響く作品でありました。
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