えいがうるふ

旅のおわり世界のはじまりのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

序盤で、これはもしやまさかのまともな良作?と思わせておきながらやっぱり清は清だった。
前田敦子演じる突撃ルポ番組リポーター(?)女子の成長譚かと思いきや最後までろくに成長してないし、それ以前に仕事で海外に来ている社会人としてあまりに幼稚で常識も責任感もなく、若く未熟なキャラクターだとしてもあまりにひどくて全く感情移入できなかった。

ウズベキスタンの異国情緒とか景色を楽しむにも、前面に出てくる芝居が邪魔すぎる。むしろ現地の文化やそこで暮らす人々への敬意が感じられず(山羊を放す?のくだり、最低だった)憤りすらおぼえた。
現地語どころか英語すらおぼつかないコミュ力のなさのまま、無防備な格好で知らない街の見るからに危ない場所を一人でビクビクしながらウロウロしても怖いことなんてなんにも起こらない・・・・。これ観て真似する若い女性が出ないかと母さんは心配です。

途中からはすっかり黒沢清の通常運転だと気が付き、劇場に迷い込み「もしやここで歌うの?」と思ったら本当に歌い出したので笑うしかなかった。
ラストにダメ押しでもう一度歌わせるほど愛の讃歌に思い入れがあるのなら、なぜもっとちゃんと歌える女優をキャスティングしないのか・・・。

「モヒカン、故郷に帰る」の前田敦子はすごく良かった。彼女は役柄によってはその独自のキャラが無理なく活きるのを知り、これからに期待したいと思っている一人だったのに、なんとも残念。少なくとも、この作品においても彼女の演技は悪くはなく、与えられた役柄を全うしているだけと思えた。
今後の彼女が良い出演作に恵まれることを祈る。