ノラネコの呑んで観るシネマ

若おかみは小学生!のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.7
高坂希太郎11年ぶりの監督作品、しかも脚本は吉田玲子。
これで期待しない訳がないのだけど、予想を超える素晴らしさ!
事故で両親を失った小学生おっこが祖母の経営する旅館で若おかみとなり、彼女にだけ見える幽霊や訳ありの客たちとの交流を通して成長してゆく。
美しいアニメーションで描かれるキャラクターは、とても魅力的。
大き過ぎる喪失からの少女の再生と成長を結びつけた物語は奇をてらった部分は無いが、その分おっこの心を丁寧に紡いでゆく。
幽霊やおっこの見る幻想など、生と死が入り混じったリリカルな世界観も良い。
宿にやってくるお客さんも、おっこにとって徐々に心の難易度が上がって来る様に出来ていて、最後のあの家族とのエピソードには思わず涙腺が決壊。
ライバル旅館のピンフリちゃんとの関係も良かった。
あんな旅館が本当にあったら、泊まってみたいと思わせた時点で勝ち。
ただ、これは原作がそうなんだと思うけど、余りにも毒が無いと言うか、おっこを含めて子どもたちが皆自分の運命を素直に受け入れてるのは少し引っかかる。
「君の名は。」の三葉みたいに、「こんな田舎嫌」とか「おかみなんて嫌」って葛藤が少し見えても良かったと思う。
ブログ記事:
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