ニシカ

若おかみは小学生!のニシカのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.2
"咲き始めたジブリの遺伝子"

10月7日 新宿バルト9 19時45分 ほぼ満席
自分含めておっさんだらけの異様な回で観賞(笑
たぶんフォローさせて頂いてる諸兄もチラホラといたことでしょう。

そして、みんなちょっぴり最後は泣いてたよね。

児童向き映画の視点はしっかり守りつつ、大人のココロにも刺さる豊かな作画と動き、集中を持続さながら作品に初見な者もきっちり守る脚本と、非常に高いレベルでバランスがめちゃくちゃに良いです。

監督の高坂希太郎はジブリ出身で、背景・世界観の色彩はジブリの影響が色濃く出ており、キャラクターにこそあのタッチ感は無いものの、温泉街の物語でありながら、四季、草木、風に水にと自然と物語の調和が頭一個飛び出してますね。宮崎駿の遺伝子は純度100%で受け継がれることは無いものの、様々な新たな才能に飛び散って、混ざりあって芽吹き出している。前作"茄子 スーツケースの渡り鳥"から実に11年経過してからの本作となり、なんとも次回作が楽しみな監督です。(色彩設定・美術設定のスタッフによる力であることも、もちろんあります。)

脚本の吉田玲子は、2018年公開作で"リズと青い鳥"と"若おかみは小学生!"を手掛けており、どちらも素晴らしく言わずもがな今後の映画アニメを支えていく一人でしょう。小説や原作がある作品で、映画が初見でもまったく問題無く、そしてその作品の持つ魅力に触れさせる脚本を書けるのはこの方だけかも。(古くはけいおん!や近年では映画アニメ 聲の形もこの方です。)

声優陣に14.5歳がいますね、
まったく違和感無い仕事をされています。
いつの世も才能は新たに出てきますねー。



"小学生が若おかみになる"、"幽霊が出てくる"という二軸で物語を立体化しながら、この非現実な設定から思わず涙しそうになる傑作に仕上げたスタッフ達に拍手を贈りたい。

-ホント、観て良かった。
ニシカ

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