あんがすざろっく

若おかみは小学生!のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.5
最初予告観た時、小学生の女の子向けの作品なんだろうと思ったんですよ、当然のように。しかし、いざ公開するとものすごい反響と再上映、拡大上映。驚きました。スタッフのことも全く気にかけてなかったけど、ジブリ出身の高坂希太郎監督だったとは。「アンダルシアの夏」を観に行ったのを覚えています。
ここ最近は口コミとか、フィルマの皆さんのレビューに心を動かされることが多く、見逃せず観てまいりました。
ほぼ満席の劇場、客層は小学生の女の子は勿論のこと、赤ちゃん連れのご夫婦だったり、中高年層も目立ちました。凄いなぁ。

主人公のおっこは、交通事故で両親を亡くし、祖母がきりもりする温泉旅館に身を寄せることに。
祖母や旅館の中居さん、板前さんに支えられ、ひょんなことから若女将として修行を始めるおっこ。
旅館には幽霊も住み着いており、おっこにしか姿が見えない。様々な背景を持つお客様を迎えながら、おっこの毎日が過ぎていく。

おっこと周りのキャラクターとの距離感が上手いんです。
女将の修行とは言え、祖母も頭ごなしに厳しく躾ける訳ではないし、その差し引きが見事。
ピンフリの真月は強烈ですが、これがアニメの醍醐味ですね。

占い師のグローリー水領、年齢を越えておっこの親友になります。
きっと彼女の職業柄、おっこに何か強く惹かれるものがあったんでしょう。その声を当てたホラン千秋さん、ピタリとハマってました。彼女とおっこの買い物シーンは楽しかったですね。

幽霊のウリ坊、みよちゃん、鈴鬼と、それぞれの立ち位置も良かったと思います。

でも一番は、やはり主人公おっこが魅力的だったことですよね。
まだ親離れしきれない年頃の女の子が、いきなり両親と生き別れてしまう。
だからと言って、そんなに聞き分けよく、大人になんかなれないんです。
まだ子供っぽい、でも何とか自分に言い聞かせようとする、その背伸び感がよく出てます。

キャラクターの絵はもう少女漫画ですよ。
ここから高坂監督にもジブリにもイメージが直結しないから、余計に驚きます。

作品は全体を通して、おっこの視点で描かれます。大人の視点は極力削られている。
それでありながら、大人の気持ちにも染み込んでくる。
最後の親子連れのお客様の辺りから、まさかの展開を見せますが、これがなければ、おっこは一皮向けなかったでしょう。そしてここぞと言うときに駆けつけるグローリーさん。カッコ良いなぁ。

子供の目線で話が進むから、説教臭くなく、素直に見れます。これはやっぱりそれぞれのキャラクターが魅力に溢れていたからですね。
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