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若おかみは小学生!のhikarouchのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
3.2
※昨年鑑賞ログ漏れ


自分からは絶対に進んで見ないであろう作品に挑戦。

お話はとても良いと思う。主人公であるオッコちゃんが成長していく様子の繊細な描き方、その必然性など、良くできていた。

またラストにやってくる激エグ展開も、生易しい話に終わらずに主人公をとことんまで突き詰めていくのが素晴らしい発想だと思った。思ったんだけど、あの旅客がそれを知らずに春の屋に泊まりに来るというのは、ちょっと不自然に感じてしまった。そう感じてしまった理由は、その前にあるオッコちゃんの活躍により春の屋が雑誌に紹介され大人気になる、というくだりのため。それだけ話題になっているなら、その宿を予約する人はその評判を目にしているのが自然のようにも思うので、事前にオッコの存在に気づくのでは、と思ってしまった。
もちろん、気付かなかった可能性もあるので良いんだけど、あの雑誌で人気に、というくだりの物語上の必要性がいまいちわからなかったので、ノイズになるくらいなら無くても良かったなぁと思ったかな。

ただこの旅客も含め、オッコの前に現れる3人の客たちが、オッコ自身の現在、未来、過去を表現している、という監督自身による解説には、なるほどと膝を打った。この話からも、この作品の作り手が尋常ならざる周到さと想いを込めてこの作品を作っているのがわかる。


ただ、個人的には、合わなかった。門外漢からみて、アニメアニメしいセリフ、キャラクターのリアクション、踊り、ファッションショーなどが苦手というか慣れなくて、好きにはなれなかった。まあこれも、本来子ども向けの作品なのだ、と言われてハッとしたけど。

時系列をまぜこぜ、重層的な表現とか、かなり映画技法的にもうまいなと思うところも多く、高評価の人が多いことも全然理解できる。

回想シーンでうりぼーがみね子に対してやる、ハンドサインでの「パン・ツー・マル・ミエ!」が懐かしすぎたし、セリフでは全く違うことを喋らせていたりするところもまたニクい。
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