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マーキュリー13 宇宙開発を支えた女性たちのKSのレビュー・感想・評価

4.3
60年代アメリカにおける男女差別の実態を宇宙飛行士という観点から描いたドキュメンタリー。

男性や女性というカテゴリー分けがいかに無意味で、その思い込みが人権を奪ってきていたかがよく分かる。映画『ドリーム』が60年代NASAにおける裏方の男女差別を描いたものなので、それとセットにして見ることで、その社会の常識とされていることは、科学的な知見以上に優先されてきたという歴史の一端が見えてくる。この視点は、現代社会を見る上でも大事な事だと思う。
例えば、日本は医学部における女性差別が明るみになったし、理系や文系というステレオタイプ的な価値観に対して未だに性別が用いられていることを、そういったステレオタイプ的な価値観を再生産しないためにも意識する必要があると思う。

日本の医学部が女性を合格させなかった言い訳(結婚するから、妊娠するから)と、60年代のアメリカ政府が女性を宇宙飛行士にさせなかった言い訳と同じだったことには、差別の再生産を目の当たりにした。

あと映画『ドリーム』は、黒人女性が主人公だった事を踏まえると、白人女性との格差を窺わせるものもある。
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