回想シーンでご飯3杯いける

翔んで埼玉の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

翔んで埼玉(2018年製作の映画)
2.0
埼玉自虐は「下妻物語」風、派閥争いを学園内の縮図としてディフォルメする手法は「帝一の國」風。そのハイブリッドのようでありながら、どちらも越えられなかった印象。

僕は「パタリロ! 」を知っている世代だし、このバカバカしい世界観は嫌いではない。千葉や群馬を相手に罵り合う構図もアリだし、最終的には東京を欺くのだろうという展開も読み取れ、楽しみではある。

ただ、臭いで出身地が分かるとか、近付くと病気がうつるといった笑いは、小学生レベルというか、差別的であまり趣味が良いとは言えない。例えば僕が住む関西でも、同じような構図で映画を作ることは可能だろうが、その場合、煩いおばちゃんとか、何でも値切るおっちゃんとか、行動を根拠にした笑いになると思う。これなら差別的な後ろめたさは生まれない。ああ、そう言えば「下妻物語」の原作者、嶽本野ばらも関西出身であったことを思い出す。

それから「パラサイト」のオスカー獲得翌日に観てしまったのもあるけど、原作者自ら「埼玉をディスる動機が自分の中にない」という理由で打ち切った40年前の漫画を引っ張り出してくる日本映画業界のコンテンツ乞食ぶりや、地域限定の身内ノリに何の疑いも持たない風潮、そしてこれが日本アカデミー賞で12部門制覇してしまう現実に、改めて落胆してしまう。もっと他に評価すべき映画があるはず。そこを本気で考えないと、いつまで経っても韓国映画に対抗できないと思う。