夕暮れ空は炎のようだ。
暗闇を仄かに照らす炎のようだ。
人は炎の中に何を見るのだろう?
自分なのか?過去なのか?未来なのか?
暗闇と沈黙の中から
何を見いだそうとしているのか?
“要するにね、そこに蜜柑があると思いこむんじゃなくて、そこに蜜柑がないことを忘れればいいのよ。それだけ”
何も無いのに何か有る
想像ではなく実像として見る
村上春樹が禅のようだと書いたように
何も無いが、無いことを忘れろとは?
しかし、人は無いことを忘れられず、
何かを追い求めてしまう。
彼はバックミラーに映る炎の中に
何を見たのだろうか?