Aya

バーニング 劇場版のAyaのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
3.5
#twcn

まぁ、こんな、感じ!
きっと一度見ただけじゃわかんないんだろうな。
見れば見るほど、他の人の話を聞けば聞くほど、私の感想も変わってくるんだろうな。そんな作品。

「ポエトリ-アグネスの詩-」が2010年なので8年あいてる。元々数年に1本の監督なのですが、すっごい久々ですよね!

世界的高評価にもかかわらず、本国韓国では「イ・チャンドンそろそろオワコンじゃね?」扱いを受けており、そこまで好意的に受け入れられなかった本作。

それもわかる。と思った。
なんか、どんどんわかりやすさを排して、芸術的とも言えるほどの表現に移行しており、これ汲み取れるよね?という過剰な観客への信頼と、雰囲気重視の作風。

明らかにイ・チャンドンの視線は世界に向いています。
韓国大衆的に受け入れにくい、と言われるのも仕方ないのかもしれない。

それぐらいのアート作品。
元々画面内の美しさは群を抜いている上、非常に丁寧で時間と手間暇をかけ、才能ある人がめっさ頑張って撮っている、特に今作は夕日でございます。

ヒロイン、ヘミの語るアフリカで見た色を変えながら沈む夕日。
それを追想するかのように3人で、1人で夕日を見るシーン、夕日を背に受けるシーンが多い。

それに対して朝はどうでしょう?
日の出前が多い!
暗い!!
田舎!!

主人公、ジョンスは朝起きるのもいつも無言電話だったり、気持ちよく起きれない!

ユ・アインも映画久々ですよね。
彼は今時の韓国芸能人には珍しく兵役免除されており、ちょっと干された感ありますね・・・。
みんな2016年の人気絶頂の時、ドラマ終わりに行くと思っていた(人気絶頂の時に兵役に行けば企画や作品が俳優を待ってくれる)のに結構びっくりでしたよね。

あのヘミ久々に会って「兵役行ったの?」という会話はブラックジョークにすら聞こえましたw
2人が出会うあのデパートって新村の交差点のとこですよね?

後、ヘミの「1日のうちに一瞬だけ日が差し込む」という南山タワーにほど近いぼろアパートで、一瞬壁に光が反射するのは完全に「オアシス」だし!

それでも!
あのー、ユ・アインて、韓国俳優界では最上級に位置する俳優じゃないですか?

でも、ヘミがアフリカから帰ってきて意気揚々と彼氏面で迎えに行ったら連れて帰って来たのが、なんとスティーヴン・ユアンだったのでビックリしすぎて開いた口が塞がらなかったよ!
(しかもエンドクレジットが韓国名の연 상엽になってたから余計混乱したw)

ハリウッドスターじゃん!!
やべえ・・・いくらユ・アインでも勝てねぇ・・・。

その予感は的中し、ヘミはスティーヴン・ユアン演じる「韓国のギャッツビー」ベンオッパに夢中。

会えない時間にヘミへの愛を募らせてしまったジョンスは嫉妬しながらも、金持ちで洗練されていてインテリのベンヒョンに引け目を感じまくりで、ヘジンに「好き」と告白すら出来てない。

そして突如姿を消すヘミ。

探すの必死すぎてベンヒョンのストーカーとなり、暴走しだすジョンスの姿がめっちゃ可愛そう(T . T)
それを見透かしたようなベンヒョンの行動。

3人で坡州のジョンスの実家の庭で酒を飲みながら夕日を見つめる一番幸せな時間に、ベンヒョンが「俺2ヶ月に1回くらいビニールハウス燃やすの趣味やねん」という「V.I.P」のイ・ジョンソク演じる殺人犯と同じペースでの犯罪を告白する。

ベンヒョンにもらったグラスでダウナーになりながら(さすがハリウッド人種は違うぜ!)その話を聞いて以来、ジョンスは取り憑かれたように指定されていた近所のビニールハウスをパトロールして回る。

しかも最初は車で回っていたのに、途中からランニングで見回り開始。

驚くほどベンヒョンの言う通り「韓国には誰も気にも留めないようなビニールハウスが多い」ことに気付くジョンス。
ユ・アインがランニングしてると、ボクシングするのかな?!ってなりません??

そして、なんとかジョンスが真実に辿り着き、静かに静かにあのラストへ向かってゆく・・・。

スティーヴン・ユアンのあの欠伸からの笑顔にそんな意味があったなんて・・・。

やはりというか、一度見たときの自分の安易な感想と、他の方の感想を見れば見るほど、こうだったのでは?ああなのでは?という考察を膨らませられる作品ですよねー!!

だって、よく考えたらジョンスがヘミを探し回ってる時に話を聞きに行くキャンギャルみたいな女の子も同じ時計してたし。
これはこれは何度でも見たいわ。

地味に家族描写キますよね・・・農家を営み警察を怪我させて逮捕された冴えなさそうな父の公判にもちゃんと行ってあげるし、子供の頃出て行ったっきり音沙汰がなかったのにひょんな理由で連絡してくる母の相手も半ば心ここに在らずで安請け合い。

そして町内会長が使っているペンは日本のジェットストリームの黒!

改めて、ユ・アインていい俳優だなー!と思ったし、完全新人のチョン・ジョンソの雰囲気たるや「ウンギョ」の時のキム・ゴウンちゃんや「アトリエの春、昼下がりの裸婦」のイ・ユヨンのようなミューズ感ある!

この勢いでいったら次のイ・チャンドン作品はカンヌのパルムドール賞を受賞しながら、我々一般観客が汲み取るには何度か見なよくわからんか、感覚的に刺さる、映画になる予感。

あと、この原作小説を読んだ方に教えて頂きたいのですが、小説って言葉表現が柔らかめだったりします?

根本理恵さんという韓国映画では一番信頼の置ける字幕の方なのですが、この映画に関してはいつもと明らかに違って、かなり台詞の内容が原語と変わっており、過激な単語がほとんど排除されていたのです。



日本語字幕:根本 理恵