Pepe

バーニング 劇場版のPepeのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
4.6
Arclight Hollywoodにて鑑賞。

ロサンゼルス便に乗る前に愛する映画の批評を一つ。

2018年カンヌ国際映画祭では『万引き家族』に
パルムドールを譲ったものの、個人的には『万引き家族』に負けない程の
輝きを放っていた芸術作品。

日本でも有名な村上春樹の『納屋を焼く』が原作で、原作といってもかなり脚色されていて舞台を韓国に移して、若者と貧富がテーマの韓国らしい作品に仕上がっている。

あらすじは…
青年ジョンスはある日、昔近所に住んでいたヘミに出会う。ヘミに頼まれ彼女がアフリカに旅行してる間彼女の猫の世話を頼まれる。ヘミはアフリカから帰ると現地で出会った若く金持ちのベンに紹介される。
そして少しずつ何が壊れていく…

と言った感じでしょうか。

まず1つ言いたいのが、
日本版予告編はすごくよくできているのと同時に「究極のミステリー」っていうタグラインは少し勘違いされてしまうと思います。
人それぞれだとは思いますが、僕はこの映画を謎解きの映画とは全く思いませんし
多分そうだと思って見たらがっかりすると思います。

この映画は完璧で究極な《キャラクター・スタディー》です。
『パラサイト 半地下の家族』でも題材にされているように貧富の格差は今韓国で大きな社会問題で、今作もそれを素晴らしく描いています。
格差社会を生きる若者たちの目を通じてその苦しみと悲しみがあまりにも残酷にそして美しく映し出されます。

多分2018年最も美しかった映画です。
特にあの踊りのシーン。
まさにあの踊りのシーンはこの映画の頂上で
あまりにも美しすぎます。
でもそのシーンが表してるのはその後に訪れる残酷な終着点。

ヘミのパントマイムからこの映画の全てを語っています。

皮肉がすごいです。
富裕層から見たら貧困層なんてどうでもいい存在、それがセリフから痛いほど伝わってきます。

確かにスローの映画ですし、
謎解きの映画でもないので、
大衆に受ける映画ではないですが
僕はこれこそ芸術的作品であり、
涙の出るような美しい映画です。

何かとても取り憑かれた感じになります。
僕は3夜連続で観ました。取り憑かれたように。

とにかくこの映画はキャラクター・スタディーです。
キャラクターはこうやって描くんだ!というような映画です。
俳優陣も素晴らしいです。
感服です。
『ウォーキング・デッド』のグレン役で人気なスティーブン・ユァンも出演していて素晴らしいです。

日本はいつになっても追いつけないでしょう。

また後日観直してさらに書いていきます!
Pepe

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