みんと

バーニング 劇場版のみんとのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
3.7
一時期ハマってた『ウォーキング・デッド』の“グレン”(スティーヴン・ユアン)の演技見たさに鑑賞。

コチラはどっぷり韓国風味に浸かったちょっとスカした不気味な役どころ。そして「メタファー」って言葉が劇中出てくるくらいメタファーで象られた作品だった。

と...鑑賞後に気付けば村上春樹原作短編小説の映画化との事。ハルキストなる言葉を生み出した位有名作家にも関わらず著書はかの名作を読んだっきり。(しかも随分と遠い昔)なのでこのモヤモヤがらしさなのかは不確かなところ。

良く言えば説明が過ぎず、悪く言えば消化不良気味。最後まで自分の感覚だけを頼りに観進めたとでも言った感じ。ゆっくりとした展開は、ミステリーにしては一向に先に進んでいる実感が無く、果たして着地点に近づいているかも疑問なところ。
けれど気付けば主人公ジョンスの中での感情の変化は着実に速度を増していた。

前方に北朝鮮の境界を望み、国営放送が響く夕日をバックに踊るヘミのあのシーン。今作品で一際印象的で美しいシーンでもある。またジョンスの中で芽生えた疑念が形になった瞬間かも知れない。

メタファーを繋ぎ合わせ、見る側に全て委ねられ突然訪れる衝撃の結末。
韓国社会の貧富の格差、そこに芽生えた歪んだ価値観、抗えない現実に静かに熱く抵抗するジョンスの姿が哀れでもありある意味純粋で尊いもののようにも思えた。

これを機に村上春樹、読もうかな、、、
みんと

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