こたつむり

ファイティン!のこたつむりのレビュー・感想・評価

ファイティン!(2018年製作の映画)
4.0
♪ 君の戦いの歌 闇にひびいてゆけ
  易すい明日 求めていないから 
  君のfighting

スタローンに憧れたというマ・ドンソク。
少なくとも、本作で彼に並び立つことができた…と僕は思います。

題材も彼へのリスペクトを感じる“腕相撲”。
そう。あの『オーバー・ザ・トップ』と同じですね。ここまで正々堂々と敬意を示されたら、観る側としても真正面から受け止めるのが誠意。ヒーローとしてのマ・ドンソクを堪能するだけです。

ゆえにベタベタで良いのです…が。
何故だか、目から水が溢れて…今は乾期の筈なのに、どうして潤んでしまうのか。子供を絡めたら泣くのは当然。ズルい、ズルいわ、きぃ。なんて声も届かぬうちにググっと力が入るクライマックス。うーん。最高じゃないですか。

しかも、主軸は成長でもなく、子供との交流でもなく。どちらかと言えば、気は優しくて力持ち…という“クマさん”のような主人公が抱えた“寂しさ”をふんわりと癒す物語なのです。だから、あざとくても「マ・ドンソクをモフモフしたい」と微笑んでしまうのです。

あざといと言えば、子供の存在はあざとさ満点。男の子も女の子も可愛いし芸達者。お仕着せの演技に感じないのですよ。子供たちの表情を観ているだけで飽きない…それは地味に監督さんの功績だと思います。天晴なり。

ただ、一点だけ難点を言うならば。
主人公がアメリカに養子に出された…という設定に馴染みが薄いこと。この辺りは“勉強不足の自分”が残念でした。知識があれば、もう少しググっと来るものがあったかもしれません。

まあ、そんなわけで。
闘うことでも乗り越えることでもなく、繋ぐことを描いた物語。演出としては王道中の王道なので、それを理解して臨んだほうが良いと思います。

また、韓国らしい残酷描写も皆無なので、家族で楽しめるのも嬉しい話ですね。年頃の子供がいる家庭ならば、積極果敢に見せたいところ。我が家も前向きに検討します。
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