いずぼぺ

ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺のいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.6
す少し事件の背景を調べてから観たほうがよいと思う。
1819年、イギリス北部の工業都市マンチェスターでおこった事件。
ナポレオン戦争が終結したものの、工場労働者の労働条件は悪く貧困に喘いでいた。
たぶんこれがイギリスにおける組織的な大衆運動のはしりなんだろうけど、邦題のとおり悲劇が待っている。
ヨーロッパを吹き荒れる民主化の波が英仏海峡を越えてやってくる。男子普通選挙や秘密投票、議会改革を求める民衆がセントピーターズ広場に集結してくる。
「虐殺」と表現されて当然の多くの犠牲が出た事件なのだが、作中の「希望しかない」との言葉が切なくなるほど体制には影響しなかった。イギリスは一貫して「上からの民主化」を貫き、大衆の下からの願いはなかなか中央に届かない年月が続く。

この作品、予備知識がないとわかりにくいうえにちょっと長めなので劇的に面白いというわけではない。
しかし、こだわりは強く感じる。衣装や民衆の生活様式、地域別のアクセントや身分別のアクセントなど細部が面白い。
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