まーしー

ビリーブ 未来への大逆転のまーしーのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
4.0
後年にアメリカの連邦最高裁判事を務めたルース・ギンズバーグの半生を描いた伝記作品。同時に、性差別の撤廃を求めた男女平等裁判の行方も描かれており、法廷サスペンスの色合いもある。

まず、女性の地位向上のために社会と闘う主人公ルースの姿に感動した。
「男性=仕事」「女性=家庭」が当然の時代。その思想は法律にも表れている。当時の時代背景から察するに、その考え方は「男女差別」ではなく「男女区別」なのだろう。
その当たり前のことを「性差別」と訴えるルースの主義主張は、世間の人にはとうてい理解しがたい突飛な内容だったと言える。法廷で交わされる、ルースと裁判官のすれ違い答弁がその証左だろう。

わが国でも今なお女性の社会進出やキャリア形成が問題となっているが、これは社会の環境整備の問題。まだまだ課題が残されているものの、少しずつではあるが法整備は進んでいる。よって、法律を根拠に性差別を主張することはできる。
しかし、ルースの時代は、それ以前の問題。法律という後ろ盾すらない。
そのような厳しい環境下で、世間の常識を非常識と訴え、法律を変えるべきと訴えるルースの想いと熱量、行動力には脱帽しかない。

育児をしながら法律の勉強に励む姿、女性蔑視に挫けず立ち向かう姿、法廷で性差別への熱き想いを弁論する姿には心を打たれるし、元気も貰える。
諦めずに困難に立ち向かおう――そんな前向きな気持ちにさせてくれる作品だった。

同じ女性差別を題材にした『スタンドアップ』や『エリン・ブロコビッチ』ほどメジャーな作品ではないが、個人的には隠れた良作だと思う。