滝和也

ビリーブ 未来への大逆転の滝和也のレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.9
ガラスの天井…
嘗てのそれは
鉄格子が嵌る檻。

70年代に米国の鉄格子を
破る奇跡を起こした
女性弁護士の勇敢なる
実話を映画化…

「ビリーブ 未来への大逆転」

奇しくも法廷モノの実話が続きます。ただ1つ言えることは、彼女、ルース・ギンズバーグなくしてエリン・ブロコビッチはいなかったであろうと言うこと。ルースは数々の男女平等裁判に勝利し、最高裁判事となった偉人。その最初の裁判を軸に彼女を描いた作品です。

一児の母として夫の後を追いハーバード法科大学院へルースが入学する所から物語は始まる。時代は男性への特権で溢れ周りからは奇異の目で見られた時代。病に倒れた夫マーティンを支えながら、猛勉強し、夫のNYの弁護士事務所への就職でコロンビア大学へ転籍したものの、主席で卒業。だが彼女を待っていたのは性差別により、数多の弁護士事務所に就職を断られる事態だった。大学の教授となり。数年が過ぎた時、一つの裁判が夫から提示される。彼女は弁護士になる夢を叶え、未来の女性たち、そして弁護人のため立ち上がる…。

最初のジェンダー裁判。嘗ての判例がそびえ立ち、相手は法律そのものと言う圧倒的不利な裁判に挑む新米弁護士と言うストーリーです。彼女の人生のターニングポイントとなるここにストーリーを絞ったのも○かな。冗長に伝記はなりがちですからね。

当時の男は外、女は家と言う常識を翻す裁判を弁護士とは弁護人の為に戦うと言う不文律を外さず、劇的に描いたのはミミ・レダー監督。女性監督でしたか…、なるほどと。この方アクションやパニックモノまできっちりこなす方で正にジェンダーレスを行く方でこの作品は相応しいですね。

エリン・ブロコビッチより実話でありながら、内容は刺激的で演出も劇的にヒロインの苦悩する姿から成功への道を描いています。これは冗長になりがちの伝記に対して、演出、脚本共に飽きさせず良かったかなと。時代が変転していく様を上手くは描いているのも○。またチームとなる家族愛の部分がきっちり描かれていて、分かりやすくなっているのも○ですね…。

ヒロインにフェリシティ・ジョーンズ。激しい気の強さ、短躯そして愛らしさを持つルースを見事演じていて似合ってますね。オープニングの男だらけの中、一人ピッとして歩くシーンから引き込まれます。ジェンダーの壁に打ちのめされながらも、理解ある夫、新世代を代表する娘に支えられながら、本当の強さを身に着けていく姿に感動があります。

男性が女性に対して差別されていると言う裁判から勝負を懸ける事に気がつく良き夫にアーミー・ハマー。でかい体が対照的(笑) こんな良い方中々いない…私には…料理が駄目ですからね…無理。

またトリックスターとして登場する人権協会のジャスティン・セローも中々。不慣れな弁護を行うルースを助ける役ですが、現実主義者でストーリーに変化を付けてくれてました。

自由であり、平等であること。その中で弱いものを助け、正しいことをする。それであれば良いんですね。その扉、鉄格子を破った勇敢なる女性のストーリーです。楽しめました、オススメです(^^)

追記 邦題センスないわ〜。何の話か分からない…。
滝和也

滝和也