みりお

ビリーブ 未来への大逆転のみりおのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.9
青山シアター・オンライン試写会にて鑑賞。
ただただ素晴らしい。
時代を切り開いた一人の女性の物語。

--------------------------------------
何千年の歴史の間、人類の中で守られてきた慣習。
そう聞くと守らなければいけないように思うし、当たり前なんだと思ってしまう。
しかしそれは、ただ前例に倣う時間を積み重ねてしまっただけのこと。
どれだけの人が、どれだけの時間をかけて遵守してきたことであっても、それが正しいか否かは常に問い続けなければならない。
問うことをやめたら、それは歴史の上に胡座をかく怠慢でしかない。
-----------------------------------

こうやって書くと、とてもカッコいいことを言っているように見えませんか?
「その通りだ。飽くなき向上を続けるべきだ。」
多くの人にこうやって言ってもらえるのではないかと思います。
しかし前述の文章の前に、以下の文言を足すとどうでしょう。

-------------------------------------
【男性は外で狩りを、女性は家で家族の世話を。】
何千年の歴史の間、人類の中で守られてきた慣習。
そう聞くと守らなければいけないように思うし、当たり前なんだと思ってしまう。
しかしそれは、ただ前例に倣う時間を積み重ねてしまっただけのこと。
どれだけの人が、どれだけの時間をかけて遵守してきたことであっても、それが正しいか否かは常に問い続けなければならない。
問うことをやめたら、それは歴史の上に胡座をかく怠慢でしかない。
-----------------------------------

いきなり読む気が失せたり、賛成したくなくなった男性は、少なくないはず。
これが世の中の実態だと、私は思っています。

議論のテーマがわかった瞬間に、議論する気さえ失せるテーマを、多くの人に理解させ、賛同させるには、どれほどの苦労が必要だったのか。
考えると気が遠くなります。
けれどルース・ギンズバーグは、それを成し遂げた人物であり、その苦労は途方もないものだったのだろうと感じます。
だからこそ、心の底から感謝したい。
そして、あなたのおかげでいま仕事に邁進できています、と感謝したいと強く強く思いました。

そして感謝するとともに、現代社会は"その次の問題"に直面していると感じました。
女性が好きな仕事に就くことは比較的楽な時代になったけれど、では仕事をしている女性にも平等に求められる出産・育児との両立はどうしたらいいのか?
これまで"体力的に弱い立場にあるのだから家を守ってくれ"と女性に言い続けた社会は、今度は"仕事をしたいならしなさい。しかし母親としての仕事もしなさい"と、当たり前のようにダブルワークを求めてくるのです。

もちろん私も子供は産みたい。
でも子供を産む以上、その子の成長に全力を尽くし、できる限りの教育を施してあげたい。
だからこそ、子供を安心して預けられる環境や、育児費用に精神的負担のない経済的フォロー、そして30.40代での出産へのフォローなど、まだまだ整備すべき点がたくさんあるのに、それは依然として進みません。
やはり「社会の変化に対して、法律が時代遅れだ」という、ルースの言葉が頭をよぎります。

私がいま就いている仕事も、女性が少ない仕事です。
会社全体で私の職種に就いている人は10000人。
しかしその内女性はたった40人です。
なぜなら女性が家庭を持って続けていくことは、極めて困難な仕事だから。
でも会社は、その仕事をするよう女性に求めてきます。
法的整備や環境整備、つまり周囲のフォローがなければ物理的に不可能である事象はたくさんあります。
けれど「社会の変化に対して、法律・規則が時代遅れ」なのです。

ルースが社会に投げかけた疑問は、いまも継続しています。
ルースが闘った時代と比べたら、女性は自分の名前でクレジットカードを作れるようになりました。
でも次は…次は…と、やはり解決すべき課題は次々と出てきます。
だからこそルースが言うように、「ひとつひとつ変えていくこと」が大事なのです。
現実に諦めず、いまを変えていくこと。
そんな不屈の精神を与えてくれた本作が、より多くの人の目に触れてほしいと感じました。
本当に素晴らしい作品です。


【ストーリー】

アメリカの貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は、すべてに疑問を持てという亡き母の言葉を胸に努力を重ね、名門ハーバード法科大学院に入学。だが1956年当時、500人の学生のうち女性は9人、女子トイレすらなかった。
家事も育児も分担する夫マーティン(アーミー・ハマー)の協力のもと、大学を首席で卒業したルースだったが、法律事務所で働くことは叶わなかった。
当時は女性が職に就くのが難しく、自分の名前でクレジットカードさえ作れなかった時代。やむなく大学教授になったルースは、70年代になってさらに男女平等の講義に力を入れ始めるのだった。そんなある日、弁護士の夢を捨てきれないルースに、マーティがある訴訟の記録を見せる。ルースはその訴訟が、歴史を変える裁判になることを信じ、自ら弁護を買って出るのだが……。


【キャスト・スタッフ】

*監督:ミミ・レダー

米・ニューヨーク州出身🇺🇸
実力のある女性監督で、私がディザスター物にハマるきっかけとなった『ディープ・インパクト』を監督しているそうです✨
うわ〜女性が作ってたんだ〜うれしいな〜🥰❣️
作品数は多くないですが、ヒット作や良作を作っている印象のフィルモグラフィでした♫


*ルース:フェリシティ・ジョーンズ

イングランド出身🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
可愛い中に強さがあって好きでした♡
いまめちゃくちゃ観たい『わたしの可愛い人 シェリ』でシェリの妻役をやっていたとのこと✨
あとは名だたる有名作ばかり出ていますが、『博士と彼女のセオリー』や『インフェルノ』はなるべく早く観ようと思います♫
本作のアーミー・ハマーとフェリシティの夫婦とか最高かよ❣️って思ったけど、『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメインとフェリシティの夫婦もおそらく最高でしょうね😍❤️
可愛らしい旦那さんと奥さんとか目の保養すぎてやばい💓


*マーティン:アーミー・ハマー

米・カリフォルニア州出身🇺🇸
あぁ〜愛しの人アーミー❤️❤️
何をしてても素敵なんだけどさ、あの低い心地よい声で、怒っている気の強い奥さんをなだめるのとか、やはり最高かよ❣️って感じでした♡
でもアーミーは確実に年を重ねるごとにステキになっているパターンですよね!
『白雪姫と鏡の女王』のときより『君の名前で僕を呼んで』のときのほうがステキになってたし、本作はさらに!!!
もぅ〜かっこいいよ〜😍❤️


*ジェーン・ギンズバーグ:ケイリー・スピーニー

米・ミズーリ州出身🇺🇸
ルースとマーティンの娘さん。
ほぼメイクせず出ていて特別美人というわけでもないのに、凛とした美しさがあって、ともかく人目を惹く子でした✨
演技も良かった!
『パシフィック・リム アップ・ライジング』のヒロインで注目されたようですね♫
もっと出てきてほしいなぁ♫
みりお

みりお