ゆっけ

ビリーブ 未来への大逆転のゆっけのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
5.0
85歳にしてアメリカ合衆国最高裁判所の現役判事である、“RBG”こと、ルース・ベイダー・ギンズバーグの若き時代を描いた実話。

個人的にかなり好きな映画でした。

ルース・ベイダー・ギンズバーグさんといえば、日本でも5月に公開される、ドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』でも注目(今年のアカデミー賞、長編ドキュメンタリー賞と主題歌賞にノミネートされました)されていますが、ごめんなさい、初めて知りました。

舞台は1970年代、アメリカ。「男は外で働き、女は家庭で家事育児」という考えが社会にあった時代で、よりよい未来にするために、信念に基づき闘う物語。

主演は『博士と彼女のセオリー』フェリシティ・ジョーンズ、『君の名前で僕を呼んで』アーミー・ハマー。『ペイ・フォワード/可能の王国』
のミミ・レダー監督(久しぶりですね)

まず言いたいのが、この映画は、決して”女性”のための映画ではないこと。原題「On the Basis of Sex」は、「性別に基づく」という意味であり、"女性差別"が本質ではなく、"性差別"がテーマです。

「これは男性の役割で、女性の役割だ」とか考える時代はすでに終わっていて、時代遅れだと思うじゃないですか?「男性だから、こうしなさい、女性だから、こうしなさい」とか、「男性だからわかる、女性だからわかる」とか、そんなこと、今の多様性を認める時代に言う人なんていないだろうと思いつつ、実際今でも、悪意はなくても言葉にしているのをみかけることが多いと思います。ダサいですよね。。。

無意識に"差別"してしまっていること。『ズートピア』でも知らずと差別することで、誰かを傷つてしまっているということを描いていましたね。

この映画の中心となる裁判は、女性ではなく、独身男性が原告というもの。独身男性が、親の介護のために自分は仕事をしているので、ヘルパーさんを雇ったのですが、その費用を、「介護控除」としては男性は、所得控除できないことに対して訴えました。当時、「介護控除」は女性の特権として認められていたものでした。それを逆手に取って、"性差別の撤廃"へ働きかけます。

自由とは何か?

難しそうに思えるかもしれませんが、社会派映画というほど重苦しい映画にはなっていません。誰もが共感しうる、心打つ映画でした。

この家族がとにかく素敵なんです。ルースは法科大学院の学生のとき既に、結婚して娘もいる中で育児をしながら猛勉強しますし、その夫マーティンは5%の生存率といわれる癌にかかりながらも、ルースの人生を応援し、愛に溢れた平等な生活を送ります(料理は旦那がしますし、マーティンが良い夫すぎる。娘への接し方とか100点だし。言葉をかけないでそっとする行為が一番よね))

ルースの原動力は、亡き母の言葉でもある「すべてに疑問を持て」ということ。法律だから、ルールだから、昔からの慣習だから、ダメと考えて思考が停止してしまうのが一番良くなくて、まずは目の前の出来事が本当に正しいのかということをよく考えて、自分なりの価値観に従って、間違いを正すために立ち向かうこと。今の時代に合っていないならば、「おかしい」といって行動していかないと何も変わらない。

最後の裁判のシーンでは、正直何も言えないくらいの正論を言われてしまった(差別と区別は違うと思うけど説明が難しい。)ので、結局何も変わらないのかと思ってしまいました。けれども、過去がどうだとか実際は関係なくて、今目の前にいる人がどう生きて、現実と向き合っているのか、それしか信じられるものはないんだって思いました。(息子に見習わせたいと言うシーンには涙でした)

あの最後のスピーチは何度も観たい、それほど力強くて、勇気の出るものでした。

この裁判に勝訴したことで、多くの法律が変わりました。この世界をよりよくするための挑戦、チャンスさえも与えられない社会に対して、悔しいという負のエネルギーが、未来を変えました。

その人のこと考えず、頭ごなしに「できない」と言われることが1番嫌いです。それを言うのは、その人の先入観からなのか?過去に例がないから?

はじめから否定しないで、本質から逃げないで見つめること。目的を見失わないことが大事だと思います。

"性差別"がテーマだから、この映画が良かったとかではなくて、自分の信念に従ってまっすぐ生きた人を描いた映画だったから、良かった。その意味で、この邦題は自分はベストだなと思いました。

KESHA「Here Comes The Change」
https://gaga.ne.jp/believe/trailer/maintheme.html