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ビリーブ 未来への大逆転のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.8
アメリカ最高裁判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグが、70年代当時の法律が男女差別を認めているとして、国を相手に法律を変える裁判を起こした伝記映画です。

以前、「RBG」というドキュメンタリーを見て彼女のことを知ったのですが、その時は体調悪くて結構ウトウトしてしまった事が悔やまれます。

彼女がハーバードのロースクールに入った頃は、まだ女性の学生は500人中9人しかいなくて、女性用トイレもなかった時代でした。
賢くて勉強熱心で努力家の彼女は、誰よりも成績が優秀だったのに、女性というだけで法律事務所にも就職できず、優秀な女性というだけで煙たがられ、正当に能力が認められずに女性差別の大きな壁に何度となく阻まれてきました。

この作品で描かれる裁判は、独身男性が親の介護にかかる費用の控除が法で認められていないのは、男女平等を謳った憲法に違反するとして国を訴えたものでした。

親の介護は女がするもの。
女は働かず家にいて子守や介護をするもの。
そうした、社会が決めてきた枠に男性も女性も閉じ込めているのは、権利や自由の侵害であるし、男だから優秀、女だから能力が低いという常識は間違っているということを行動しながら変えていった、その生き方がすごいです。

彼女がハーバードのロースクールに入学した時、学部長から「男子の席を奪ってまで入学した…」と言われたシーンがあったのですが、これって、日本でも医大の入試で女子の点が低く設定されて合格しにくくしていた問題とまんま同じだと思いました。

てことは、日本ってアメリカの50年代でやってたことを未だにやってるって事なんだと思って、どれだけ遅れてんだ…と情けなくなりました。

この入試差別が大きな問題になった時に、女に医者は務まらんとか、どうせ出産や子育てするから医者には向いてないとか、女の医者は信用できないとか、ナンヤカンヤの屁理屈こねては、女性への差別を正当化したり仕方のない事として言う人が結構いて、この作品にもそういう事を言ってる男がいたので、自分は男であるという特権を守るためには女の犠牲は必要という考えの人間てどこにでもいるんだなと思いました。

女はこうあるべき、男はこうあるべきと枠に押し込めることは、女性だけでなく男性にとってもしんどいことだと思うんです。
男は強くないとダメ、稼がないとダメ、成功しないと…とか。
そうでないと一人前の男としての価値がないみたいな事から解放して、男性も女性も自由に自分の持ち味を活かして生きるのが当たり前になればいいなと思います。

ルースは女性だということで不当な扱いを何度も受けてきて、その事で悩み悔しい思いもいっぱいしてきたのですが、その彼女を誰よりも理解し、彼女の能力を正当に認め、信じ、彼女の目指すもののために献身的に支えながら一緒に闘い続けた夫のマーティンが、とにかく素晴らしくて、家事が苦手で勉強や仕事に夢中だったルースは、その時代なら母親失格とされそうなものですが、彼女をひとりの人間として尊重し信頼してたのがほんとに素敵でした。
イケメン過ぎるやろ!

こういう人たちの1歩1歩が今の時代を作ってきてるんだなと思って、勉強になりました。

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