レネー・ゼルウィガーがとにかく圧倒、各女優賞を総ナメにしているのも納得の作品。
『シカゴ』で歌う姿を見てはいたけど、歌唱技術そのものより魂の込め方が桁違いに凄い。
ジュディ本人とは歌も姿もあまり似てないのにここまで魅力的な人物像を作り上げられたのだから、レネーは相当の努力を重ねたのだろう。
本作はジュディ・ガーランドの亡くなる直前の数年間だけを描いている。
実際の出来事とは違うところも多々あり映画用に錬られたストーリーだけれど、
彼女の人情や子への愛情、葛藤や孤独などがとても丁寧に描かれていて、どんどん引き込まれてしまう。
ラストのOver the Rainbowはとても温かくて、色々な思いがあふれてしまい涙が止まらなかった。
実際のジュディ・ガーランドは、
幼い頃からのMGMと実母よる覚醒剤・睡眠薬の強要と、役員からの性暴力と暴言、
体型を貶められ続けたことによる摂食障害、愛着障害、アルコール依存症など、
数多くのトラウマや依存に長年苦しめられていたという。
「子ども時代をハリウッドに盗まれた」という彼女の言葉を思うと、
酒や薬に浸りステージを幾度も台無しにした身勝手さや、何度も結婚と離婚を繰り返す奔放さなども、すべて悲しく寂しい我儘に見えてきて心がとても痛くなる。
映画を通して、ジュディ本人の人生を深く想わずにはいられなかった。
ジュディ・ガーランドが何者か知らない人は
まずジュディの経歴を調べて、
できれば『オズの魔法使い』を見てから本作を見ると、
かなり入り込めるのでオススメ。