リリー

ジュディ 虹の彼方にのリリーのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.8
ジュディ・ガーランドという元名子役について「オズの魔法使い」の主役という以外は詳しく知らなかったので、当時の子役への非人道的な扱いに心が痛みました。金儲けのために薬漬けにして、操り、搾取する、という製作側の姿勢には憤りを感じます。青春時代の楽しみをすべて否定されれば人格形成にも影響がありますね。
印象的だったのは、それでステージに立つことが嫌いになっても当然だと思いきや、意外にもジュディにとって注目と喝采を浴びることが生きがいになっていたのだとわかるいくつかのシーンです。生まれながらのスターだったのでしょう。
そのような心身ともにボロボロになったジュディを演じたレネー・ゼルウィガーの迫真の演技に圧倒されました。顔には人懐こい微笑みを絶やさない一方で、心は悲鳴を上げながら地を這うように生きていたジュディが、あまりの熱演のためにレネーと重なって見えてしまいます。レネーは長い休養期間に何を思っていたのでしょうか。
ジュディは寂しがりやなのに、人を信頼できずにいつも傷ついている姿は哀れを誘います。だから、心優しいゲイカップの登場には癒されました。
「オズの魔法使い」をいつか感慨深く観ることが出来そうです。
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