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ジュディ 虹の彼方にのDickのネタバレレビュー・内容・結末

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

1. 初版2020.03.20

❶相性:良好。

➋まず何よりも一番に言いたい:「レネー、おめでとう!、よく頑張ったね、偉いよ、立派だよ」。
①今年のアカデミー賞(2/9)で一番嬉しかったのは、レネー・ゼルウィガー(50)が『ジュディ 虹の彼方に』で主演女優賞に輝いたこと。
②レネーはAA主演女優賞に過去2回(『ブリジット・ジョーンズの日記(2001)』、『シカゴ(2002)』)ノミネートされていて、『コールドマウンテン(2003)』ではAA助演女優賞を受賞しているが、主演女優賞受賞は今回が初めてである。
③暫く低迷が続き、映画業界から距離をとった時期もあっただけに、全盛期を過ぎたミュージカル女優のジュディ・ガーランドが、復活をかけて決死の覚悟でロンドン公演に挑む姿を演じた本作は、レネーにとっての復活でもあったと言える。
④レネ―がジュディに捧げた受賞スピーチも素敵だった。
「ジュディ・ガーランドは、人生でこのような栄誉を受けることはありませんでした。私たちは映画を作り始めたときからずっと、彼女の伝説を称賛し続け、それがいまこの瞬間に繋がっているのです。また同時にこの瞬間は、個性的で、並外れていて、寛大な心を持った彼女の伝説が、どのアーティストの功績をも超越したことの証明になったと思います。ジュディ、あなたは間違いなく私たちを結びつけるヒーローのひとりです。この賞を、あなたに捧げたいと思います。」

➌それから1か月、満を持して観た本作は期待通りだった。久しぶりのレネーは素敵だった。全てのミュージックナンバーを自分自身で歌ったレネー、老けメイクにこだわったレネ―等々、AA主演女優賞に納得した。自分のことのように嬉しかった。その陰には大変な努力があったものと思う。もう一度言おう:「おめでとう!、レネー。ウェルダン!、レネー」。

❹ジュディ・ガーランド(1922~69)の出演作品は、下記❽に示したように、彼女の代表作の『オズの魔法使(1939)』(名画上映)と、『ニュールンベルグ裁判(1961)』(リアルタイム鑑賞)の2本を劇場で、『スタア誕生(1954 )』と、『イースター・パレード(1948)』の2本をDVD他で観ている。
しかし、ジュディの私生活については殆ど知らなかった。

❺本作では、スクリーンの裏のジュディがタップリ描かれている。
①17歳にしてスターになったジュディは、体形維持の為、厳しい食事制限を受け、睡眠薬や興奮剤を与えられていた。
②ジュディに強要したのは、スタジオの帝王ルイス・B・メイヤー以外に、実の母も加担していた。今で言うパワハラ、児童虐待と同類である。
③そのためジュディは、成人となってから不眠や神経症に悩まされ、薬物中毒の影響が表面化してくる。遅刻や出勤拒否を繰り返すようになる。何度も自殺未遂を起こす。5人の男性と結婚と離婚を繰り返し、子供も出来るが、生活は安定しなかった。
④人気が下降すると収入も減り、ホテル代にも事欠くようになる。
⑤子供たちの親権も奪われそうになる。まさに踏んだり蹴ったりである。
⑥生活維持のため、ロンドンでの公演を引き受けて、渡英する。
⑦本作で中心的に描かれるのは、このロンドン時代の出来事。
⑧ジュディはロンドンでは根強い人気があったが、アルコール依存から脱却出来ず、契約が打ち切られてしまう。
⑨最後の舞台で、『オズの魔法使』の主題歌「オーバー・ザ・レインボー」を熱唱するジュディ。
レネーとジュディが一体化した名シーンである。

❻この公演の6ヵ月後に、ジュディが47歳で亡くなったことが字幕で示される。大女優の孤独で哀れな最期だった。
そして『オズの魔法使』の中の名セリフが表示される。
「どれだけ愛するかじゃなくて、どれだけ人から愛されるかが大事なのだ」

❼ショービジネスによって殺されたジュディの人生は、幸せだったと言えないかも知れない。
しかし、ジュディが演じたドロシーは永遠に我々の心に残っている。
それだけでも、十分価値がある人生だったと思う。

❽トリビア:私とジュディ・ガーランドの映画
①17歳で主演し、アカデミー子役賞を受賞したジュディの代表作、『オズの魔法使(1939 MGM)』(日本公開1954/12)は、リアルタイムでは観ていないが、ビデオ(DVD)とTVで何回も見ている他、名画上映の劇場でも観ている。
②GG主演女優賞を受賞した、『スタア誕生(1954 WB)』(日本公開1955/5)も①と同様である。
③『イースター・パレード(1948)』はビデオ(DVD)とTVのみ。
④ジュディの作品をリアルタイムで観たのは、1962年に公開された『ニュールンベルグ裁判(1961)』のみ。
この作品で、ユダヤ人と情交したドイツ人を演じた38歳のジュディはAA助演女優賞にノミネートされている。
ジュディはこの後、2本の映画に主演しているが、共に日本未公開である。


2. 追記2020.05.03

❶賞:
レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、SAG賞、BAFTA賞、など主要な映画賞で主演女優賞を受賞した。
①アカデミー賞2020 :最優秀主演女優賞(レネー・ゼルウィガー)受賞、最優秀主メイクアップ&ヘアスタイリング賞(ジェレミー・ウッドヘッド)ノミネート。
②ゴールデングローブ賞2020 :最優秀主演女優賞(レネー・ゼルウィガー)受賞。

➋評価:
①Rotten Tomatoes:312件のレビューで、批評家支持率は82%、加重平均値は7.0/10。
②IMDb:29,759件のレビューで加重平均値は6.9/10。
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