足拭き猫

ジュディ 虹の彼方にの足拭き猫のレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.0
エンタテイメント界の犠牲になったジュディ・ガーランド。ド頭で映る大きな目は恐怖で終始見開かれて決して閉じられることはない。
物語に合わせた歌が織り込まれ心情を吐露する。人前に出ることが恐ろしくてたまらないのに喝采を浴びて高揚し、麻薬のようにリサイタルを繰り返す姿は狂気。いや、死んで発見された時は椅子にうなだれて座っていたそう、その姿勢が度々映されて、生きながら生死を繰りかえしていたことを知る。好きなものを好きと言えない、自分でも何を望んでいるのか分からない、ひと時も心が休まらない中でよくぞ47歳まで、と思う。
皺だらけの真っ赤な口元と長身の体をも歪ませるレネー・ゼルウィガーが圧巻。
日本人が誰でも「さくら」を知っているように、40年前はイギリス人は誰でも「Over the Rainbow」を歌えたのだけど、今はどうなんだろう。