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幸福なラザロのmiiのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
3.9
「YES」 「NO」とはっきり言うのは大事だと思う。
YESだけ言ってれば 善人になれるかもしれない。
でもね
それは 付け込まれてしまう。
善人だった人をも悪人にさせてしまう。
伯爵婦人が大元の悪人だけど
小作人たちも小悪人。

けれど ラザロ本人はそんな事はどうでも良い 善人の上をいく聖人。
狼は 汚れなきラザロの心を見抜いた。
まるでキリストの化身のような彼を。

ニコラは当然 自分の邪心を見透かされる彼を跳ね返し
アントニアは 彼にひれ伏した。
彼女は人を騙すような事をしていても
ラザロの純真な心を思い出し 化身だと理解できたのかもしれない。

ラザロがタンクレディの為に 奪われた財産を返してほしいと銀行に懇願するも
周りの者たちは その見た目だけで彼を悪者に仕立てあげた。
それは 教会のシスターも同じく。
見た目で彼等を追い返した為に音楽は奪われてしまう。
音楽もが 聖人の後を追いかけるのだ。

ラザロは夜空の月を眺め 木の根元の大地を触り涙する。
故郷を思い出したのか 人の世の薄情さに涙したのか・・・
羊を襲ったために 狼が人に殺されるかのような
銀行で大勢の者に蹴られるラザロ。
その時 元の狼の姿に戻り 懐かしい故郷に戻っていく。

不思議な物語でしたね。
善人と悪人。
たとえ善人でも それがいいとは限らないという含みもある。
善だけではこの世の中では渡り歩けないという複雑なものも感じました。
助けられた小作人たちが
以前の生活となんら変わっていない現状も
ラザロのような聖人であっても。