メザシのユージ

幸福なラザロのメザシのユージのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.0
時は20世紀後半。純朴なラザロと村人たちは、小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され、社会と隔絶した生活を強いられていた。ところが夫人の息子が起こした誘拐騒ぎをきっかけに村人たちは初めて外の世界へ出て行くことになる。だが、ラザロだけは・・・。
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第71回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。実際に起きた詐欺事件に着想を得ている。映画は16mmフィルムで撮影された。
マーティン・スコセッシが、映画完成後という異例のタイミングながらプロデューサーに名乗りを上げた。

誰かが望んで自分がそれをできるなら、なんでもやる。良いも悪いも関係なく。聖なる者ラザロ。

聖書では死んだ後、4日目にキリストの奇跡で復活したラザロ。教会からラザロを追い出したら音楽が消えた。銀行からラザロを追い出したら、自分たちのコミュニティからラザロを追い出した人々はどうなるのか。

「狼と聖フランシスコ」が教えるのは対立する者同士の和解の大切さ。オオカミが町の中を歩いているのを見ると、人々はフランチェスコの徳や教えがよみがえり、対峙する相手と和を結ぶ大切さを思い出したという。

富める者と貧しい者を生み出した現代社会も描く映画だった。