緑青

幸福なラザロの緑青のレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.2
クレジット見ながら訳もわからず泣いた。なんだろうこの映画は。なんだこれは……。
こういうのを観られてよかった。イタリア映画ってこういう瞬間に信じがたいほど尊い。人間のことをどうしてこんなによく知っていて、しかも受け入れている。この映画数年前に薦めてもらったきりだったのだけれど、これを薦めて大丈夫だと思われていたなんて、ずいぶん信用されていたのだなと思う。
カメラワークそれ自体が映画の在り方なのだなと悟った。ショットの中でカメラが被写体に寄ったり離れたりするのを極力減らして、構図で視点誘導して、劇的にならないように、お客さんに目配せしすぎないように、丁寧に丁寧に、ゆっくりあまねく世界を照らしてゆく。作り手が見えたら駄目なタイプの映画なのかもしれない。作り手がはしゃいでたり「これが好き」が見えたりしたら興醒めというか、もちろん創作物としてそれはありきなんだけどその手の欲が透けて見えたらおしまいな感じがする。観客はあの世界の片隅に置かれ、そのまま終わり、それが正しいのだと思う。
観てよかったです。
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