ちぇるごまる

幸福なラザロのちぇるごまるのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.8
予備知識なしでの鑑賞。

主人公は、20世紀後半、領主の伯爵夫人のもとで働く多数の小作人の中の青年ラザロ。
真面目で純粋な彼は、信頼されながらも上の者からは体よく使われているが、彼に不満は無い。
搾取する側とされる側の格差社会。
伯爵夫人の嘘つきな道楽息子に気に入られたラザロは、仲良くしてくれる友人と想い彼を慕うようになる。
そんな時に発覚した伯爵夫人の嘘。
それは数年前に小作人制度が撤廃されたのをずっと知りながら、小作人たちをタダ働きさせてきたこと。
これまで働いてきた賃金は国が保証してくれることになり、小作人たちは自由の身になる。
そして国の役人が伯爵夫人を逮捕し、バスで小作人たちを迎えに来訪するも、ラザロの姿は見つからない…。

ラザロは人でなく聖人?
宗教色が強く不思議な世界に引き込まれた。
映画は前半・後半で時代ががらりと環境が変わり、まるでタイムスリップしているかのよう。
切ない…人はどうしてそうなのか。
悲しいが、私もその1人なんだろう。
これはかなり私好みの映画。
元小作人たちや元領主の生活の変化もリアルに描かれていて、悲惨。
ラストは衝撃的で、人と聖人の差をまざまざと見せられた気がした。
ラザロの透き通るほどに澄んだ瞳が印象的な秀作。
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