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幸福なラザロのdm10foreverのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.4
【孤高の狼】

観終わった瞬間に「もう一回観たい」と思えた不思議な映画。
別に「超絶すごい映像」を見せ付けられたわけでもないし、とんでもないどんでん返しがあったわけでもない。
ただ単に自分の理解が追いつかなかった。
だけど、いい意味で「突き放された感」が心地よくて、気がつくと「もっと知りたい」という欲求がどんどん沸いてきた。

『聖人』は『善人』じゃなければいけないのか?

一体何をもって『聖人』と呼ぶべきなのか?その定義を僕は知らない。
だけど、少なくとも『善人』とは正しき行いをする人という事は間違いないだろう。
では今作におけるラザロは「善人」だったのだろうか?
彼は全てにおいて「正しい行いだけ」をしていたのだろうか?
ラザロは人々にとってどういう存在であったのか?
たぶん、そこを追求していくと『聖人』≠『善人』に辿り着いてしまう(悪人という意味ではない)。

リアルな寓話でもあり、ミステリーでもあり、ファンタジーでもあり、まさに様々な要素がありながらも、なにより映像が美しくて、ふとした時に見せるラザロの微笑みにやられてしまいます。
中々重いテーマですが、あとからゆっくりと滲みてくる不思議な作品です。
映画っていいな~と見終わった後に呟いてしまうタイプの作品ですね。
満足の一本です。

ちょっと気にになる点も色々あって、NB含みそうなのでフィルターかけてコメ欄に残します。
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