20代ならば二人の熱情に心うたれズーラの歌を何度も聴きたくてCDも買っただろう。しかし50代になった今では、亡命するため（多分ズーラに軽く誘惑され騙されて）結婚した人の良さそうなハゲのシチリア人の男性の方に同情する。彼女に生き写しの小さい男の子を愛おしそうに抱っこしてズーラの恋人だと十分承知した上でヴィクトルと心優しい言葉を交わす。たった今ステージで歌っていたズーラが舞台から転げながらダッシュして降りて来る、自分の夫と子供には目もくれずはまっすぐにヴィクトルに飛びつく。。。その姿を諦めた様に見る夫。偽装結婚させられたシチリア人のお父さんの方に同情してしまうよ笑自分の子供さえもどうでもいいんだな。しかし台詞は少ないが彼女は登場から魅力的であった。典型的スラブ系の顔。お父さん殺しのズーラ。それを聞かれた時「父が私を母と間違えたからナイフで刺したの、別に死んでは居なかったわ」と答えていたし何度も別れようとした時洋服のまま湖に飛び込んで浮かびながら美声で歌っていたり、ポーランド人ズーラの激しさは魅力的。そういえば今年ポーランド人の先生グループと一緒にイギリスで勉強した。彼らの貧しさ（ごめんなさい、しかし日本からするとかなりの質素さだった）ものすごい積極性には驚いた。絶対になんでもはっきり口にする、言いにくい事もはっきりと言う。時々周りのイギリス人ドイツ人フランス人達は引いていた位になんでもはっきりと口にしていたが、彼らの今まで歩んできた道のりを考えるとそんな性格になるのは当然と思えた。
