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COLD WAR あの歌、2つの心の海のレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
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用意された答えはいつでも冷たい色をしているものだけれど、昨夜のあいだ降り続けた雨を運命の仕業だと思いたい人々にとっては、ひどくやさしい色をしているように見えるだろう。願いは簡単に世界の色を変える、青い炎のようだったあなたの目に映っていたわたしもまた青く燃えていたのでしょうか。政治も景気も日々変動を繰り返し、流行りの色や求められる音楽さえもそれに相乗して移ろい続ける。ただ前を走る車のテールランプに尾いて走ればいいだけなのに、忘れられぬ時が増えるほど、嘘をつき空しさが膨らむほど、生きていくことはただひたすらに耐え忍ぶことへと変わっていく。そしてそれに世間は美徳と名付ける。もしもやり直せるのなら、わたしたちが感じた最後の風も、わたしたちが聴いた最後のことばも、わたしたちがした最後の選択も、最初から儀式のようにもう一度なぞってしまいたい。ただ奪われるだけならば、隠し通して死んでいくほうがずっといいわ。今ハイウェイを降りたあの銀色の車は一体どこへ行くの、誰もが知っているはずなのに、知らないふりをして眺めている。
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