たま

COLD WAR あの歌、2つの心のたまのレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
3.5
不必要なものを一切削ぎ落とした心地よいほどシャープな映画。

終戦直後のポーランド、混乱の中アイデンティティを取り戻そうという試みなのか、民族音楽舞踏団を立ち上げる。

古くから歌い継がれた民謡、民族舞踏、民族衣装にポーランド独特の雰囲気が伝わってくる。モノクロ映像だからこそ映えるのは何故だろうか。

そして冷戦時代になり、ポーランド国家も親ソ連の共産主義国になり、文化的要素にも政府が介入してくる。

舞踏団のピアニストで指揮者のヴィクトルと団員ズーラの恋がこんな時代背景の中描かれる。

フランスに亡命し成功を収めたヴィクトル。再会を果たし、歌手としてデビューするズーラも、最終的にはそれぞれ別の形でポーランドの地へ戻る。

仏ではジャズやロックが流れ、ポーランド民謡の「ふたつの心」の違うアレンジもお洒落だけど、やはり一番素晴らしいのはオリジナル。ポーランドの心という感じ。
ヴィクトルもズーラも祖国への思いが強くなる。

常に恋愛の主導権を握るズーラ、ただ愛するだけじゃ済まない、障壁があってこそ燃え上がる愛。
「ふたつの心」の歌そのもののように。

悲恋と時代背景を描いているけど、なによりもポーランドへの想いと愛が熱く感じられる。
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