前から気になっていた本作を鑑賞。
パッケージや前情報から、戦争によって離れ離れになった音楽家である恋人同士が最後に運命的な再会をするといった、ある意味単純なお話を想像していたのだが、そんなに甘いものではなかった。
ポーランドにおける冷戦下という、我々日本人では真髄まで理解することは難しいであろう複雑な情勢のなか、二人の男女のまさしく゛15年に渡る生き様゛を淡々と描いた作品。
一度、愛し合った二人の男女は周りの状況や事情がどう変わろうが、またいかに倫理観や道徳観に縛られようが、結局離れることは出来ない。
腐れ縁などといった陳腐な言葉で表現はしたくないが、人間関係におけるどうしても変えることの出来ない一つの業のようなものを感じた。
ラストシーン、カメラが二人の姿を追うことをやめたのは、我々はもうこれ以上この二人の行く末を観なくてもいい(観る必要はない、答えは出ている)ということの暗示なのだろう。