COLD WAR あの歌、2つの心の作品情報・感想・評価 - 2ページ目

上映館(13館)

「COLD WAR あの歌、2つの心」に投稿された感想・評価


もっと社会問題色の強い映画かと思っていたら、純然たる恋愛映画だった。

祖国ポーランドで出会い、恋に落ちた歌手のズーラとピアニストのヴィクトル。ヴィクトルはパリに亡命し、思い切れなかったズーラはポーランドに残る。
冷戦下の各国で、再開する度に愛を甦らせながらも、思うままに生き思うままに歌いたいズーラと、資本主義社会の中に居場所を得たいヴィクトルは、すれ違い、別れを繰り返す。

求められるまま、各国に受け入れられる形へ変えられ切り売りされるズーラの音楽が、東西の狭間で揺れ動き、分断されるポーランドの辛苦に重なるようで切ない。

プツリと途切れ、時間経過を全く省いて、いきなり数年後から再開される構造が独特で、最初のうち少し混乱した。
モノクロの映像と、それを彩る様々な音楽がひたすら美しく、目と耳には大変贅沢だった。

ただ、恋愛体質が薄いせいか、物語の主軸となる二人の愛の心情に、殆ど感情移入できず。
離れている間の互いの人生や心情も、大方察せられるものの、多分意図的に描くことをせずにいるので、すれ違いのもどかしさが募るばかりで、スッキリできない。
結末も、あー、その決着を選んじゃうのか…と、些か微妙な気持ちに…。
文学上の恋愛なんて、そんなものなのかも知れないですけど。
音楽舞踏学校の教師をしているヴィクトル(トマシュ・コット)は、オーディションにやってきたズーラ(ヨアンナ・クーリグ)を一目見て恋に落ちる。
ヴィクトルにとってズーラは「ファム・ファタール(運命の女)」であり、それ以降ヴィクトルは自由奔放なズーラに翻弄されることになる。
一般的に「一目惚れ」は女性よりも男性に多い現象だと言われている。
男性が一瞬で恋に落ちるのに対し、女性は恋に落ちるまで時間を要する(ここに男女の温度差が生まれる)。
恐らく先に恋に落ちたのはヴィクトルで、ズーラはそれほどでもなかっただろう。
しかしヴィクトルと逢瀬を重ねる内に、少女の顔をしていたズーラは、美しい大人の女性へと変貌していく。
特に胸の谷間を強調したドレスを着たズーラが、音楽に合わせてダンスを踊るシーンには見惚れてしまった。
二人が画面の奥に消え、タルコフスキーを彷彿とさせる風にそよぐ田園風景を映したラストカットが、愛の残響としていつまでも鳴り響いた。
なみ

なみの感想・評価

3.5
これは凄まじい愛の物語、感情移入をあえて廃したような、 2人の世界。

余計が多分に削ぎ落とされ、そのときの状況や感情をセリフではなくまさに描写と表情で感じ取るしかない。

時代に振り回された部分も確かにあるんだろうけれども、それ以上に、結びつき絡み合い、愛が深いからこらこその憎悪にも繋がる、表裏一体とはまさにこのこと。

作品を彩るモノクロと音楽が美しい。
rt

rtの感想・評価

3.3
最近のx-menのジェシカ・チャスティン似の美人さんですわー、予告編しか観てないけど。
kazata

kazataの感想・評価

5.0
本年度アカデミー賞に複数ノミネート(監督・撮影・外国語映画賞)なこともあって公開を待望していた一作……これが期待以上の大傑作でした!
(撮影技術的にも物語的にも“エモかった”『ROMA』に対して、本作はどこまでも"堅実的"で“禁欲的”な印象を受けたわけで……映画としての完成度はどちらも高く、それでいて表現スタイルというか方向性が真逆に思える辺りに、改めて映画表現の幅広い豊かさを感じられました)

冷戦下で引き裂かれた男女の切ない恋物語……って単純な話っちゃお話なんだけども、そこにポーランドという国が歩んできた(他国によって何度も支配されてきたという悲惨な)“歴史”が重ね合わされ、それ故に二人の男女が選ばざるを得なかった“決断”の悲しさに、大感動せずにはいられませんでした。
(高校時代の世界史の先生がポーランド好きで、事あるごとに“悲しいポーランド史”ネタをいろいろと教えてもらったこともあってポーランドへの親近感があったからこそ、より感動できたのかもしれません…)

個人的に“郷土愛”とか“愛国心”って普段はあまり意識しないもんだけど、、、それを奪われた時にこそ強く意識できることなのかもしれない、なんて思いました。
(日本も韓国併合時の教育文化政策なんかでいろいろと押しつけてしまった歴史があるわけで……本作を見ると“やられた側”の恨みつらみは根深いよね、と改めて思います)

鑑賞しながらいろいろと深く考えさせられたこともありましたが……何はともあれ音楽がいい!
“オヨヨ〜♪”と一緒に口ずさみたい衝動にずっと駆られていました。
(第二次大戦後のポーランドの貧しい田舎を回って民謡的なフォークソング採集をする冒頭シーンからもう釘づけ状態だったのは、大学時代に民俗学の実習でフィールドワークをした体験を思い出したせいもあります…)

ロシア民謡って聴くと心踊る魅力ありますよね……
(緒方明監督の『独立少年合唱団』が久しぶりに見たいんだけども廃盤で入手困難!……あの頃DVD買っておけば良かったと激しく後悔!!)


余談ですが、現在進行形で社会主義思想的なプロパガンダ音楽や文化に触れてみたい!なんて思ったら……意外と近くに北朝鮮がありましたね(笑)
冷戦下の命懸けのラブ・ストーリー🥺

歌と音楽で当時の状況を的確に伝える手法はさすが👍

素晴らしいモノクロ作品です😇
くり

くりの感想・評価

3.7
吹き抜け構図は健在ながらも、ちょっとおさえぎみ?
ポイントに絞ってて個人的にはだいぶ効果的になった印象。

イーダから変わらず話は薄味。
なんというか1から10まで堅実。
そういう意味ではかなり安心して見ていられる。
唐突な最後も全然嫌いじゃない。
ただ、人と音楽しか映してないわりにそこまでの積み上げが弱いような気もしなくはない。
りっく

りっくの感想・評価

4.2
約10年にわたる男の女の切ないラブストーリーを主軸に、音楽という芸術活動が政治利用されていく様や、労働者と中産階級の身分の相違などによって、すれ違い引き裂かれていく姿をストイックかつエレガントに切り取った傑作。

特に興味深いのは、アウシュビッツに代表される悲劇的な第二次大戦が集結したポーランドの戦後史において、ソビエトの傀儡国として自らを押し殺してご機嫌取りに徹し、そんな状況からパリという民主化した国家に亡命しても、ふたりの関係はむしろ亀裂が入り冷え込んでいくという展開だ。自由や夢のありかを探し、それでも祖国に戻るふたりの歩みは、胸に迫るものがある。

ただし、本作は決して感傷的になったり、説明的になったりすることはない。それらを例えばげきちゅうで奏で歌われる音楽そのものや、世界を正方形に切り取るキャメラの枠や、場面を暗転させる際の沈黙によって饒舌に滲ませる。

そんな道行きの果てに、閉塞し荒廃した世界の外にふたりが消えていく。そして風がふっと吹き抜け草を撫でる。なんと芳醇でエレガントなラストであろう。そのささやかな希望の予感に身を浸らせる。
冷戦時代のヨーロッパを舞台にしながら白黒画面のためかどこか異世界感を感じる不思議な味わい
セリフでの説明の代わりに歌が効果的にすべてを語っている
88分の短い尺の中で怒涛のような"愛"の奔流が描かれている
監督の両親の話と聞くとなおさらすごい
Amy

Amyの感想・評価

3.4
セリフはすごく少ないけど少なく感じないし音楽がセリフになってる、独特な空気感。ズーラ役の女優さんがレアセドゥに似てる。