けんたろう

ある女優の不在のけんたろうのレビュー・感想・評価

ある女優の不在(2018年製作の映画)
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電話先の撮影クルーや母親が不憫でならないおはなし。


外から来た才能には門を開け、内から出た才能には門を閉じる、片田舎の保守的な村、サラン。
辺ぴが過ぎて、遠視持ちばかりになってしまったその村では、どうやら映画鑑賞と出る杭打ちとが娯楽として盛んらしい。

まぁ、村民さんつべこべ言わずに『学問のすゝめ』を読んでください的映画の一つに組み込まれよう今作だが、そこには健気な村民の姿も見え、十分に彼らを嫌う事はできない。
さらに中央の強権力による支配の影も垣間見えるため、今にも村八分を起こしそうな後進的農村をただ描いただけではなさそうだ。
くわえて原題の『3 faces』も謎である。


よって少し調べてみたところ、その世情をほとんど知らない僕にとっては、かなりのハイコンテクストな作品である事が分かった。
登場する詩も大切な一要素らしいが、そもそも詩など出てきたことさえ憶えていない。

今年は、キアロスタミをはじめイラン映画にも手を出そうと思っていたが、なかなかそうはいかず、遂に今日まで来てしまった。
つまり今作は、ようやく観ることができた、僕の(たぶん)人生初のイラン映画なのだが、初めの一作にしては随分と難しいものを選んでしまったようだ。

あゝ疲れる。次はもうちょっと柔らかい作品を観たい。