2MO

ブラック・クランズマンの2MOのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.1
スパイク・リー彼自身が、世論を動かすアジテーターとしてのカリスマをすでに纏ってしまっている以上、どんなに立派な映画であっても、まごうことなき正義(Right Thing)がなされていたとしても、むしろだからこそ、まずは一歩引いて疑うことから始めなければならない。

絶対的な正しさに集う万能感からは距離を取らなければならない。
それが反動の時代に我々が学ぶべき姿勢であり、決して冷笑や逆張りではない知性だと信じる。
またその心構えの有無こそが、映画が多様で、個人的なものであり続けるための分水嶺だとも。

啓蒙するまでもない、周知の事実。目覚めるまでもなく眼前に広がる悲劇をことさらに、挑発的に、フィクションと掛け合わせて焼き直すことで得られるものとは一体何か。
映画の功罪を問い正す作品であればなおのこと、その悪魔的な側面を──あるいは自覚的に──利用することにどんな理があると言えるのだろうか。

復讐ならば──それは甘美だ。
よかろうそれが人間の本質ならば、これ以上何も言うことはない。それ以上の正当性など持ちうるはずもない。突き上げた拳の下ろし方なんぞ知る由もない。トランプと同じリングの上で、終わりなき闘争(LOVE & HATE)を続けるまでだ。
2MO

2MO