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ブラック・クランズマンのRenのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.5
【Ku Klux Klan】クー・クラックス・クラン(KKK)。アメリカの秘密結社、白人至上主義団体。名前の由来は、ギリシャ語のkuklos(集まり)と英語のclan(一族・氏族)から来ているとされている。黒人やアジア人、ヒスパニックといった人種の市民権に異を唱え、同様にカトリックや同性愛者の権利運動に対しても反対の立場をとっている。
(Wikipediaより)

自分にとって初スパイク・リー作品。
人種問題をテーマに据えた同年のバディムービー『グリーンブック』が明るく開けていて博愛的な成分も含んだエンタメの大傑作だとしたら、今作はそれよりもっとトガった一作。口に出すのも憚られるような差別用語が横行しますが、人種間問題に真に切り込むなら必要最低限これくらいはやるべきだよなと思ったりもした。

電話越しには黒人警官のロン、生身の潜入には白人警官のフィリップ、二人一役の潜入操作は声色の変化で流石にバレるのでは....?とは思いつつ、実際には上手くいっていたのでしょう。
ロンがレイシズムを出任せでベラベラ喋ったり、その他随所に見られるKKKの人々の間抜けな行動は確実にウケを狙いにいっていると思われ、ブラックコメディとしても高性能。他方で、フィリップが嘘発見器にかけられる場面など、緊迫感を高めないといけないシーンはドキドキしたものの、もっともっと緊張の糸を張ってもよかったのではと感じてしまった部分もあった。
要所で流れるBGMも印象的で、作曲賞ノミネートも納得です。

この作品の真価は、間違いなくラスト3分にある。「映画として」ハッピーエンドで終わったなぁ〜、かつてのアメリカの人種差別問題のことを知られてよかったなぁ〜と感じたのも束の間、何も解決してねえ!と口をあんぐりしてしまうあの映像。「フィクションが現実を救う」?いやいやそうじゃないでしょ、という監督の意地が確実にある。「そこ、ヘンに賛美的になるところじゃありませんよ」というメッセージ。なので、このラストに否定的意見があることに正直あまりピンと来ていない。

しいて不満を言うなら、
○ バディものとしての爽快感は薄めでした。潜入ものとして最高に面白かったので、そこはちょっとだけ残念。
○ KKKとしても重要な最後の計画、なぜあの人に実行させた?警察の功績よりも KKKの過失感が上回り、終盤のカタルシスにあまり繋がらず....。

そろそろアダム・ドライバーはオスカーを獲るべきだろう、という貫禄がある。独特な雰囲気を持つ無冠の若き演技派という意味で、ちょっとだけエドワード・ノートンと重なってしまう。全然似てはないけど。
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