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ブラック・クランズマンのEDDIEのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.2
スパイク・リー監督の伝えたいメッセージがまざまざと見せつけられる感じ。決して「面白い」とひと言では言いづらいものの、黒人社会の背景を知ることができ、その現実の厳しさを突きつけられます。

いやはや、私のようなNBAファンからするとですね、スパイク・リーといえば、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンの最前列に陣取ってる有名なおじさんです。
皮肉も込めた言い方になりますが、本当に映画監督ちゃんとやってる人だったんですね(笑)※「ラストゲーム」や「マルコムX」は観たことあります

さて、映画本編に触れますね。
これ凄い映画ですよ。内容はあらすじの通り、コロラドスプリングズの警察署にて初の黒人刑事として採用された主人公ロン・ストールワース。
その彼が白人至上主義団体KKKへの潜入捜査を企てるというもの。
だけど、彼は黒人。潜入捜査なんてできるわきゃないってことで、ロンは電話対応メインにやって、白人の同僚フリップがロンと同一人物のフリをして潜入するというもの。
この設定だけでも新鮮味がありすぎて、ワクワクするわけですが、KKKのメンバーの中にもやたら絡んでくるやつとかただのバカとかいて、笑わせられたり、本気でハラハラドキドキしたりと感情に忙しかったですね。

細かい部分は是非とも映画を観てもらえたらと思うんですが、このロンを演じるジョン・デビッド・ワシントンの演技が凄く良かったですね。白人っぽい口調も黒人っぽい口調も上手く使い分けるわけです。
デンゼル・ワシントンの息子ということもあり、その演技力は折り紙つきというわけですか。

でも、本作で本当に注目してほしいのはフリップを演じたアダム・ドライバー。潜入して怪しまれている以上、下手なことできないってことで、黒人に対する罵詈雑言、ユダヤ人ながらも自らユダヤ人に対して侮蔑の言葉を躊躇なく発します。
そこからのあの衝撃のラスト。正直言葉を失いましたよ。

総じて素晴らしい作品だったと思います。黒人に対するあまりにも酷な差別的発言も、「グリーンブック」がソフトに感じたほど。アカデミー賞授賞式で作品賞に「グリーンブック」が選ばれた時に、スパイク・リー監督が憤慨したことも話題になりましたが、なんかその気持ちを映画を観ることで理解できた気がします。
とはいえ、この映画を賛美し、人に勧めたいか、また観たいと思うかというと微妙なところです。個人的には後味が悪かったので。

けど、1970年代の厳しい黒人差別の社会性を知るという意味では観て良かったと思います。
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