great兄やん

ブラック・クランズマンのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
5.0
【一言で言うと】
「熟成された“怒り”」

[あらすじ]
アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署に、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワースは、捜査のために電話で白人至上主義団体KKKのメンバー募集に応募する。黒人であることを隠して差別発言をまくし立てた彼は、入会のための面接に進み、彼の代わりに白人の同僚刑事フリップ・ジマーマンが面接に向かう...。

スパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』は個人的に超イマイチだったんで😅...
今作もあまり期待はしてなかったんですが、予想よりも数倍、いや、数百倍素晴らしかったです!!
まぁ期待してなかったからでしょうけど...久々に心の底から”傑作“と言える映画に出会えたような気がするぜっっっっっっ!!!(*≧∀≦*)

『グリーンブック』を穏やかな”怒り“と表すならば、今作は激しい”怒り“と表される作品なのでしょうかね🤔
確かにあっちはあっちで問題提起は掲げているのだけど、スパイク・リーにとってはあれが”生ぬるい表現“としか思ってないんでしょうね...
そう言われてみると、『グリーンブック』よりも今作の方がよりストレートに、より強烈に”人種差別“という問題提起に向き合ってたのではないかと思う。

ただ上映館数の少なさから見て、恐らく日本ウケは難しい作品なんでしょうね😓
アメリカが抱える闇をアメリカ人が観ることでより深く本質を知る内容だったのでは?...と個人的にですが、そう感じました。

でもストーリーとしてはメチャクチャ興味深かったです!!😆
KKKという団体は存在するのは知ってたけど、深くは知らなかったんで、今作ではそれについて学べるいい機会でした。
にしても黒人警官がKKKに潜入捜査って...しかも動機がたまたま新聞の記事を見たからっていうね(^◇^;)
それから冒頭の『風と共に去りぬ』や『國民の創生』のワンシーンを入れ込んだりと、監督ならではの敬意?かどうかは知りませんが、かなりこだわってんな〜😮って思いました。
まぁどれも観たこと無いのでどーたらこーたら言えませんが(~_~;)...
きっと観てたら違う印象があったんでしょうね!

キャスト面でも、デンゼル・ワシントンの息子であるジョン・デイヴィット・ワシントンの演技は力がこもってたし、まるで親の七光りとは思えないくらいの演技力の高さ。
それにいっつも思うけど、アダム・ドライバーってなんか..こう...何とも言えないような雰囲気が出てる俳優だと思う。
カイロレンでも、『パターソン』の時でも、どこか飄々としてるというか、でもそれであって味がある演技をしてくれるんで、個人的にはあの雰囲気、たまんなく好きです。

キャスト陣、ストーリー性、それにメッセージ性においてとても力がこもった作品でした!!
ラストに見せてくるリアルな闇。
今日、アメリカは、今作のような差別主義の時代が再び訪れようとする。
“あの”男が大統領になったことで、今では穏やかな時代にも、いつかはKKKが舞い戻ってくるだろう。
そう備える為にも、私たちには何が出来るか?
常に人種との軋轢を意識し、常に人種間との攻撃を意識しよう。
これは、アメリカだけの問題では無い。
全世界の問題なのだ。

“かつての時代”では無い、“今の時代”なのだ。
差別というのを、忘れるな。
常に“怒り”という武器を持ち、それが今銃口を向けられてる状態だ。
引き金は、いつ引かれてもおかしくない。
そうならない為にも、Do the light thing.
正しいことをしよう..