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ブラック・クランズマンのKIのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.5
序盤のクワメの演説シーン、話している内容は真面目だし、説教臭さもありますが、撮り方や演出によって非常に見やすかったです。このシーンだけでも見る価値あると思います。また後半のブラックパンサーとKKKの集会の対比が印象的でした。KKK痛烈批判が強いながらも、激化していく黒人たちをも非難しています。対立しているだけではなにも解決しないのだ。

また、随所にコメディ要素もあり、潜入捜査官バディものとしても単純に面白く、ブラックスプロイテーション映画な仕上がりになっています。流石はアカデミー脚色賞受賞作品、エンターテイメント性も高い。



と思っていたら、ラストの怒涛のニュース映像に興醒めしました。"冷めた"のです。ドキュメンタリー映画や実際のニュースではなく、あくまで社会派エンターテイメントとして楽しんでいた分これには非常に堪えるものがありました。しかし、これには意味があると思いました。

本作でも扱われる「國民の創生」や「風と共に去りぬ」は黒人差別的な要素があり、白人至上主義を激化させました。しかし、これらはあたかも良い映画のように飾られ称されてきました。
映画に影響されることによって招かれた悲劇が現実にあるにも関わらず。

だからこそ本作のラストはある種のアンチテーゼとして、映画的ではなく、現実を突きつけているのだと思います。エンタメでは終わらない。好きとか面白いとかとはまた違う、歴史的意義のある作品でした。
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