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ブラック・クランズマンのsumiのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.9
■あらすじ
ロン・ストールワースはコロラドスプリングスでアフリカ系アメリカ人として初めて警察官に採用される。
最初の配属は記録保管室だったが、同僚の白人警官たちから嫌がらせを受ける日々。現場で働くことを所長に要望するが、受け入れてもらえない。
そんな中、ロンは黒人解放闘争を訴える政治組織ブラックパンサー党が過激化していないか集会へ潜入することに。集会ではカーマイケルが熱心な演説を行い、白人警官が黒人を殺している問題についても言及する。
情報部に配属されたロンは、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)の構成員を募集する新聞広告を見つける。自分の名前を使いKKKに電話をかけ、黒人やユダヤ人への差別意識を熱弁した彼は、支部長の男に気に入られ、メンバーに会うこととなる。
ロンの名前を用いて侵入することになったのはユダヤ人警官フリップ。KKKに出向いたフリップはユダヤ人であることを隠し振舞い、組織内の不穏な動きを見張る…。

ロン本人が書いた実話を基にしている作品。
愉快な作品でありながらも、その中ではシリアスに人種差別を描いている。
社会への皮肉が随所に感じられ、白人至上主義への批判、黒人の歩んできた現実を伝えている。

ブラックパンサー党の集会のシーンは熱量が凄く、とても印象に残った。
ロンとフリップが2人ともハマり役で良かったなぁ。ロンは愉快で楽しげで、それでいて芯があるし行動力もあるしで、魅力的な人物だった。初めは他人事だったフリップも、KKKに潜入することで白人至上主義に嫌悪感を抱いていく。
こうした言ってしまえば傍観者(フリップはユダヤ人だけど)の人々が当事者としてこの問題に関わっていけたら人種差別も変わっていくんじゃないかな。

1番初めのシーンは"風と共に去りぬ"のワンシーンだそう。この作品、奴隷制度の上に成り立っている南部の貴族的社会を素晴らしいものとして描いており、黒人の間では大きな批判や波紋を呼んできたそう。
白人至上主義を描いた作品が名作と呼ばれることへの批判を冒頭から描いてたんですね。

そしてラストシーン。
この作品の核。
これは2017年のシャーロッツビルでの事件(下述)だそう。車による襲撃、混乱し泣き叫ぶ人々、現在のデーヴィッド・デューク、トランプ大統領の演説。
これまで愉快に描いてきた1979年の問題は過去のものじゃなく、現在も続いている問題であるというメッセージ。
そして、中米やアフリカの国々を「shithole(肥溜め)」と呼んだ人種差別主義者と言われるトランプを大統領に選んだアメリカという国への批判。アメリカ国旗がモノクロになり逆さに映し出されるのは目一杯のブーイングだった。
このラストまでのストーリーが痛烈なメッセージを伝えるための前座だったのかと思うとスパイク・リー恐るべし。



〜シャーロッツビルでの事件〜
バージニア州のシャーロッツビルで8/12、集会のために集まった白人至上主義者やネオナチの支持者らと反対派の間で激しい衝突が起きた。シャーロッツビル市当局によると、人だかりに車が突入し1人が死亡、少なくとも35人が負傷。
ハフポストUS版によると、この集会は「Unite the Right」と銘打たれ、市内の公園に設置されているロバート・E・リー将軍の銅像の撤去計画への抗議を目的に開かれる予定だった。リー将軍は南北戦争時代に軍司令官を務めたことで知られている。
11日夜からAlt-Right、ネオナチ、KKKの活動家らが集結。「血と土(blood and soil)」「白人の命こそ大切だ(white lives matter)」といったスローガンを唱えながらデモを繰り広げ、これに反対する抗議者らとの間で激しい暴動が起きた。
バーニジア州のマコーリフ知事は非常事態を宣言した記者会見で暴行を非難し、白人至上主義者やネオナチらに向けて以下のようにコメントした。
「私たちのメッセージは簡単でシンプルです。家に帰れ。この偉大なる州は、あなた方を望んでいません。恥を知りなさい。あなた方は愛国主義者を装っていますが、あなた方は決して愛国主義者ではない」

ネオナチ:
イデオロギーは外国人排斥、ホモフォビア、反共主義が柱。旧ナチスシンパを標榜することをアイデンティティとして持つ。