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ブラック・クランズマンのがんがんのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
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「大阪の難波や福岡の天神周辺には観光客の韓国人、中国人が多すぎる。あいつらマナー悪いし、何喋ってるかわからんし、声もデカイからうっとおしい」

なんて普通に思ってたけど、これも勝手な差別ですよね…

韓国人の方、中国人の方にもそれぞれ色んな人がいるし。大きな括りで言えば自分と同じアジア人なのに、勝手な偏見でイラッと思ってしまってた。だからって殴りかかったり、何か暴力行為をしてるわけじゃないけど…

この作品の鑑賞後、これはとんでもない作品に出会ってしまったという衝撃と、監督が伝えたいことを全然理解できない自分の知識不足に恥ずかしくなった。

これは中途半端なレビューは書けないと思った。

色んな方々のレビューを拝見して、過去のニュースを調べ、本を読んで自分なりに色々と勉強してみた。きちんと咀嚼した上で、背景もちゃんと理解した上でないとこの作品に向かい合えないと思った。

適当な知識で、適当な感想を書くことは、作品内で表現された差別主義者の人々のコミュニケーションと同じだと思ったから。

この映画のプロットは黒人警官のロンが白人至上主義の団体KKKに潜入捜査しようとするという物語。しかし実際に潜入するのはユダヤ人である白人警官のフリップ。

ロンは差別を受けているけども、決して自分は差別をしない。フリップは差別を受けていることを意識せず生きてきたけど、差別をしている人々の発言や行為を目の当たりにすることにより、自分も差別されてしまう人であることを意識してきた。

スタイリッシュに、オシャレに、格好良く、スマートに、知性豊かに描かれている黒人のロンやパトリス。

ダサく、みすぼらしく、馬鹿っぽく、極端に暴力的に描かれている白人のKKKの人々。

黒と白の間で揺れ動く不安定なポジションに描かれていたユダヤ人のフリップ。

一番怖かったのがKKKの中にいた奥さんという人間像。差別する団体の中にいるのに、女性であるが故に自分自身下に見られている。しかしそのことを本人はわかっておらず、自分は団体のためにいつか役に立つと思っている。捨て駒にされたのに、重大な役を貰えたと勘違いし、自己陶酔し挙げ句には愛している自分の旦那を殺めてしまう。

この人間の描写がとにかく怖かった。無知ゆえに差別行為をしてしまうという人間の弱さをキャラクタライズされていたと思います。

あと鑑賞時は何のニュース映像かわかってなかったけど、最後の映像は2017年バージニア州のシャーロッツビルで起きた悲しい事件の実際の映像とのこと。最後の写真の女性は犠牲者になってしまったヘザー・ヘイヤーさんという方。

これはフィクションではない。2017年のこの現代にも悲しい問題は続いているということ。

トランプ大統領を揶揄する映像が続き、最後は逆さの星条旗が白黒に色が変わり作品は終わる。逆さに掲げられた星条旗というのは、アメリカという国の行く末に対する危機、損失、喪失、疑問、悲哀を表現しているとのこと。

この映像の数々をわざわざ最後の最後に差し込んだのは、きっとこの映画を観て、あー面白かったってだけの気持ちで劇場を出て欲しくないという監督からのメッセージでしょうか。

実際あの映像が無ければ、なんかメッセージ性の強い映画だったなー、面白かったなー、で自分も終わっていたと思います。あなたが楽しんだこの2時間の映画は昔の話のことではない。今も続いている問題である。そしてこれから先も続いてしまう問題であるということなんだよと、それを監督は言いたかったのだと。

日本人である自分はこの問題の根底を、きっと遺伝子レベルでは理解できない。でも学ぶことはできる。自分の日常に置き換えて考えることはきっとできる。

知らないことは知ることができる。知ることができると理解ができる。差別を無くすことは、お互いを理解することだと思います。

まだまだ理解できていないので、私は学び続けます。








以下最初のレビュー

すごい映画を観てしまった。

全然頭の中で整理できない。面白かったけど、面白かったって軽く言えない。

自分の知識ではこの作品に対するレビューを書くことができない。

よくわからないまま、よくわからないものを批判したり、よくわからないのに絶賛したり、よくわかっていないままに自己陶酔したり、よくわかっていないから拒絶したり、よくわかっていないのによくわかろうともしない。そんなのが全て差別につながっていくんじゃなかろうか。

もう少し勉強してから、レビューを書くことができるまで咀嚼できたときに書きたいと思います。

今はまだ、アフロ会長お姉さんがめちゃ可愛かった!みたいなアホな感想しか書けない。
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