叡福寺清子

ブラック・クランズマンの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.4
なるほど高評価が頷ける実に良き作品でございました.KKKという秘密結社への潜入捜査,しかも電話とはいえ対応するのが黒人刑事という無理ゲー事案を明るい基調で描く手腕は素晴らしいの一言でした.KKKの入団式やら会員証(そんなのあるんですね)といった生態を知ったのも本作の収穫でした.
作中KKKの幹部であるデビット・デュークが電話で黒人刑事に対して「ニグロとは話せばわかる.君は黒人じゃない」と話すシーンに象徴されるようにレイシストは嘲る対象ともとれる演出は理解できましょう.
意外だったのは初の黒人警官が署内で好意的に受け入れられた事.当然,差別意識が強く突っかかってくる警官もいますが,それはごく例外だったことには驚きました.
そして,エンドロールの2017年の映像であります.黒人差別主義者と反対運動家との激しいぶつかり合い.でもそれはわかりやすい時代でもあります.昨今ではアンティファに扇動された黒人のよる白人差別(まさにKKKが恐れていた事態)や黒人警官への暴行,といったより複雑な状況が常態化し,リベラルな首長は警察を解体すると宣言する始末.コロナ禍と合わせて時代はまさに混沌.こういう時ほどデビット・デュークのような耳障りの良い言葉を発してくれる指導者に気持ちは傾きやすくなりますが,正邪は全て自分で判断するという強い気持ちを持ちたいと思った次第です.