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存在のない子供たちの666のレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5
もう本当に心が痛くて、ボロ泣きしながら思ったことそのまま書く。長いです。



“両親を訴えたい。僕を産んだ罪で”



こんな小さな体でたくさんのものを背負って、子供らしい生活なんて全く出来なくてでも弱音を吐かないゼイン(主人公)は誰よりも強い子だなと思いました。
本当は子供らしく遊びたかっただろうし、親に愛されたかっただろうな。

兄弟でもないのに、他人の赤ちゃんを守ったのは“失う辛さ”をこの子は知っているからかなと。
大事な妹サハルを守れなかった辛さ、そして亡くなってしまった辛さ。
本当に本当にこの子は優しい。見ていて悲しくなるほど優しい。
この子の親は勝手に子供を産んでおきながら、何を被害者ぶってるんだ。



“大人たちに聞いてほしい。
世話できないなら産むな。
僕の思い出はけなされたことやホースやベルトで叩かれたことだけ。
一番優しい言葉は
「出て行け クソガキ」”



サハルが亡くなって、親はまた妊娠。
女の子だったらサハルと名付ける、と。
命をなんだと思ってるんだ?
妹が亡くなったらまた女の子を産めばいいでしょうって思考なら頭おかしいにも程がある。誰も誰かの代わりにはならない。絶対に。
どう見ても親になるべきではない。
ゼインの大人へのメッセージからも親から与えられたものは愛ではなかったことが分かるよね。
ゼインが家出をしても探さず、犯罪を犯しても「息子の罪は息子の罪、なんで私たちまで?」という態度。
暇だから子供作ったんか?育てられないなら産むな本当に。



“みんなに好かれて尊敬されるような立派な人になりたかった”



サハルを守ろうとしたこと。
赤ちゃんを守り面倒を見ていたこと。
大人を頼らず全部一人で考え実行していたこと。
自分を犠牲にしてもどんなに辛くても弱音を吐かないで諦めないで生きていたこと。

充分すぎるほど立派。
最後に笑顔が見れて良かったし、嬉しくなった。
失われてしまった子供時代を埋めるくらいの幸せに包まれて生きていて欲しい。
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