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存在のない子供たちのひでのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.7
自分の両親を訴える、理由は「自分を産んだ」から。
冒頭から始まるシーンはエンディングに直結し衝撃を与える。

何という残酷な映画か。



脚本・監督のナディーン・ラバキーは映画の構想について次のように述べている:結局のところ、...子供たちは私たちによる紛争、戦争、システム、愚かな決断、そして政府に本当に高い代償を払っている。私は問題について語る必要性を感じ、そしてこの子供たちが話すことができれば、表現することができれば、彼らは何を言うだろうかと考えた。彼らは自分たちを無視する社会について、私たちになにを言うだろうか?[ウキペディアより]

.....自分たちを存在の無いものとして所有していくなら「何故産んだ」と主人公ゼインの訴えは正当で痛烈である。

大人の倫理で子供たちの人間性が倫辱されているのは、この映画の中だけではないと思う。これはレバノンから遠く離れた日本でも実際このような事象は形を変えて発生しているのではないか。

救いはゼインのすさまじい生命力。不法滞在で拘束されたエチオピア移民の若い女性ラヒルの赤ん坊を育て守るところは反対に私も勇気をもらう。


(以下 https://eiga-watch.com/capharnaum/より抜粋)
存在のない子供たちの紹介:2018年レバノン,フランス映画。中東のある国での裁判所。裁判官に名前を呼ばれ前に出たのはわずか12歳の少年ゼインだった。訴えた相手は自分の両親。強いまなざしで裁判官に言った。「自分を生んだ罪で訴える」と。貧困窟に生まれたゼインは法的には社会に存在すらしておらず、自分の誕生日も知らない。唯一心の支えだった大切な妹はわずか11歳で強制結婚させられ、怒りに任せたまま家を飛び出したゼイン。しかし待っていたのは予想もしていなかった過酷な現実だった。今回が2作目の作品となるラバキー監督が、貧困地域、拘置所、少年刑務所など3年間のリサーチを経て、リアリティを突き詰めながらもドキュメンタリーとは異なる物語の強さを表現した。弁護士に扮したラバキー監督以外はほとんど現地で出会った素人をキャスティングし、主人公の少年ゼインや、エチオピア移民ラヒルを演じたヨルダノスも、役柄とよくにた境遇の人々が選ばれた。すべての子供たちが当たり前のように持っているはずの≪愛される権利≫を求めて経験した旅路に胸が締め付けられる思いをしながらも、わずかな希望の光を見出すこともできる。カンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭で賞を受賞し、絶賛の波を起こした作品。
監督:ナディーン・ラバキー 出演:ゼイン・アル=ラフィーア(ゼイン)、ヨルダノス・シフェラウ(ラヒル)、ボルワティフ・トレジャー・バンンコレ(ヨナス)、カウサル・アル=ハッダード(スアード)、ファーディ・カーメル・ユーセフ(セリーム)、シドラ・イザーム(サハル)、アラーア・シュシュニーヤ(アスプロ)、ナディーン・ラバキー(ラディーン)ほか
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