よっひ

存在のない子供たちのよっひのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.2
「観ていて心が苦しくなった。」と言うのは申し訳なくなるくらい、自身の無知さを痛感し、呪った。これが中東の現実か。

監督自身も内戦を経験し、作中の登場人物と同じ境遇を背負った一般市民たちが俳優として演じたからこそ、突き詰めて描かれたリアル。
しかしながら「ドキュメンタリー」とは一線を画していると感じた。
その理由は分からない。言葉にするのは難しいけれど、あくまでフィクション映画として届けられているからこそ、心にズシンと何かがのし掛かる感覚があったのではないかと思う。

物語としての抑揚は少なく、映像も無機質かもしれない。
思わず目も背けたくなるけど、何としてでも彼らの実情を目に焼き付けなければならない。
そんな使命感を覚えさせてくれる作品でした。

個人的には「シリア」という国に思い入れがあります。中学の修学旅行でシリア大使館を訪問したから。内戦の渦に巻き込まれたのはその2年後でした。
紅茶をご馳走になりながらシリアの素晴らしさを楽しそうに語ってくれた大使館の皆さんを今でも覚えています。

貧困国のために!全世界の子供に教育を!なんて声を大にして言う資格も力も今の自分にはありませんが、こういった現実が同じ時間軸の中で確かに存在していることを知らなければならないと感じます。
よっひ

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