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存在のない子供たちのメグのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.8
人生で一番重い映画でした。帰りの電車でも涙が出そうになって、一旦考えるのやめよう!となったくらい。
『誰も知らない』が「日本でもこんなことあるんだ」というレアケースの物語としたら、『存在のない子供たち』はこうしてる今もあんなことがたくさんの子供に降りかかっているんだという物語で、ラストギリギリまで絶望が駆け巡りました。あまりに辛くて途中映画館抜けようかなと思うぐらい。
そして、『誰も知らない』と同じく、今回も「お兄ちゃん」が親にならざるを得なくて、全部引き受けて、それが何より辛かった。スクリーンの中に入って、今すぐあの子を連れ出して「もうそんなに頑張らなくていいよ」って言って抱きしめたかった。

主役の子は本当にシリア難民でほとんど教育を受けておらず、他の出演者も本当に戸籍がなかったり、不法労働して捕まって監督やスタッフが保証人になって解放してもらうなど、リアルな境遇の人達が担ったため、半分ドキュメンタリー観てるようでした。
悲しみの目も、怒りの目も、絶望の目も、全ては実体験からきているから嘘がなく、心に突き刺さるんです。

ほんとにほんとに辛かったけど、ラストにほんの少しだけ希望が見えたのが救いでした。世界の解決には程遠くても、目の前の一人を助けることは大事だなと改めて思ったので、今度寄付しようかな…。

主役の子がインタビューで話した「撮影スタッフは人間らしく扱ってくれた」という一言が忘れられない。逆を言えば、人間らしく扱われなかった日々があったのだ…。
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