109mania

存在のない子供たちの109maniaのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5
差別、貧困、虐待、難民、そのほか様々な問題提起をしている映画だが、兄弟愛や親子愛、たくましく生きる強さなど人のポジティブな側面にスポットライトを当てながら物語を紡いでいるところが、見ていて気持ちがいい。男の子の赤ちゃんの愛くるしい笑顔も、この映画の特筆すべき要素の一つだろう。深刻な社会問題をこんな形で描く映画はあまり見たことがない。監督には、最大限の敬意を表したい。
妹のために生理用品を盗み、幼い「弟」のために、隣人の子供の哺乳瓶を盗むゼインは、大人達の作る社会の罪の全てを引き受けるイエスのよう。12歳の少年に、生きる上で大切な事は何か、本当の罪、本当の正義が何なのかを教わった気がする。PG12とのことだが、わたしに言わせれば、道徳の授業で取り上げていい位に大切な事だ。
最後のワンカットは、それまでほとんど笑うことのなかったゼインが微笑むシーン。思いがけず、涙が頬を伝った。なんの涙なのかちょっと説明が難しい。